fromz_vol11
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半導体技術者/社会科学者トレンド ウォッチ Vol.1湯之上博士のところが、その先の微細化に赤信号が点灯した。次世代のリソグラフィ装置EUV(Extreme UltraViolet)の開発が頓挫し始めたからだ。いつもの通り、「心配性のリソ屋が大騒ぎしているだけじゃないの?」と見ている人もいるかもしれないが、今回に限って言えば、どうやら本当に困難な壁に突き当たっている。この壁を打開しようとして、インテルが露光装置メーカーASMLに3,260億円を投資し、ニコンとも共同開発を行うことを発表した。また、台湾TSMCもASMLに1,080億円を投資する。しかし、インテルやTSMCが露光装置メーカーにこれほど巨額の開発資金を援助しても、ITRS※ のロードマップ通りに、2013年に量産機完成、2016年までに量産適用という目論見は実現できそうもない。1965年、インテルの設立者の一人であるゴードン・ムーアが「半導体チップに集積されるトランジスタ数は18ヵ月ごとに倍になる」ことを予測した。チップに組み込まれるトランジスタ数が増大するほど高機能が実現できる。ムーアはこのトレンドを直感的に予測したわけだ。その結果、単なるトレンドが「ムーアの法則」と呼ばれるまでになった。実際、1970年にインテルが4004プロセッサと1キロビットDRAMを発売して以降、現在に至るまで、ムーアの法則は途切れること無く継続されてきた。このムーアの法則の原動力となったのは、スケーリング則に従った微細化である。スケーリング則とは、1974年にIBMのデナードが発表した物理法則である。この規則通りにトランジスタなどの半導体素子を(例えば1/2に)微細化すると、消費電力は1/4に、速度は2倍に、集積度は4倍になる図1。つまり、回路の工夫などをせずとも、微細化するだけで、高速化、低消費電力化、高集積化(さらには低コスト化)が一挙に実現できるのである。半導体業界が40年以上に渡って、ひたすら「ムーアの法則」を維持し続けてきたのは、「スケーリング則に保障された微細化」という唯一無二の強力な武器があったからだ。だから、何度も、「もうだめだ」、「もう限界だ」と言われながらも半導体業界中の知恵と技術を結集して、微細化の壁を突破してきた。その結果、最小加工寸法は3μmから22nmまで到達し、11nmの見通しも立っているという。3次元化を制する者が次世代を制する微細化が止まってもムーアの法則は終わらない微細化が止まる?ムーアの法則を支えてきたスケーリング則と微細化スケーリング則 ―微細化するだけで高性能―(1974年にIBMのデナードが発表)パラメータスケーリング係数素子の大きさ1/k電圧1/k電流1/k不純物密度k電力密度1容量1/k回路遅延1/k消費電力1/k2集積度k2例えばトランジスタを1/2にすると速度2倍消費電力1/4集積度4倍図1高性能化16from Z_Vol.11_2012

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