fromz_vol11
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これは、現実世界での私たち自身の購買行動を振り返ってみれば、容易に理解できる。商品の購入を検討する際、私たちはまずFacebookや口コミサイトで候補製品の評判を比較することが多い。その際には、単に評判の良し悪しを比べるだけでなく、どんな人がその評価を下しているのか、あるいはどんなバックグラウンドを持つ人が「いいね!」ボタンを押しているのかといった具合に、ソーシャルネットワーク上での発言者の影響力までも考慮しながら、最終的な判断を下している。逆に企業のマスマーケティングは、ソーシャルネットワークの普及とともに、消費活動に及ぼす影響力を相対的に低下させつつある。今や「どんなものが売れるか」を探るためには、ソーシャルネットワーク上の消費者の声は無視できなくなってきている。こうした状況を踏まえ、現在マーケティングの世界では「ソーシャル・リスニング」というマーケティング手法が注目を集めている。文字通り、FacebookやTwitterといったソーシャルネットワーク上のユーザの声を「傾聴」し、その内容を分析することで消費者の潜在的なニーズを引き出し、商品やサービスの企画・開発に反映させようというものだ。モノづくりの現場においても、こうした潮流は決して無視できなくなってきている。特に商品企画や設計の段階で「何を作るか」を考える際、ソーシャルネットワーク上の顧客および潜在顧客の声を反映させるような取り組みが、一部の企業で既に始まっている。先に紹介した「トヨタフレンド」や「TOYOTA Chatter」は、米国に本社を置くクラウドコンピューティング提供会社である「セールスフォース・ドットコム」の社内SNS製品「Salesforce Chatter」(以下、Chatter)をベースに作られている。現在、世界中の数多くの企業が、このChatterをはじめとしてさまざまなソーシャルネットワークへの取り組みを強化しているが、株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 プロダクトマーケティング 榎隆司氏によれば、こうした潮流の根底には「消費者の購買行動の変化」があるという。「バブル時代には高品質な製品を作り、それを適正価格で適切な場所で販売し、マスマーケティングを打てば、ものは売れていた。しかしインターネットの普及で検索と比較が前提となり、さらにソーシャルネットワークが普及した今日では、消費者はもはやメーカーの広告ではなく、ソーシャルネットワーク上の評判や口コミを基に購買行動を決定するようになった」(榎氏)消費行動の重要な決定要因となりつつあるソーシャルネットワーク12from Z_Vol.11_2012

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