東京理科大学創域理工学部電気電子情報工学科教授スペースシステム創造研究センター(SSI)センター長そろそろ「宇宙は特別」という考えかたを変えてみよう木村 真一氏日本の民間宇宙開発の勝ち筋、「地上宇宙デュアル開発」とは?クトの話題が増えてきた。それでも私たちにとって宇宙開発は、やはり「特別な世界」というイメージが強い。そこで使われる製品は量産を前提とせず、宇宙という過酷な環境に耐える特殊なスペックを持つ特別な製品……何もかもが「特別」にみえる。持つ」と言う。身近な民生機器をベースに、耐久性を評価・選別した宇宙用のカメラを開発し「はやぶさ2」のミッションに貢献した木村教授が提唱する「地上–宇宙デュアル開発」とは何か。そして日本の製造業がこの民間宇宙開発の黎明期にデファクトスタンダードを確立し、世界から期待される日本の技術でイニシアティブを取るための戦略はどうあるべきか、についてお話を伺った。 私の宇宙開発の出発点は、スペースデブリ、いわゆる宇宙ゴミへの問題意識でした。現在、地球の周囲には役目を終えた人工衛星やロケットの破片が、ピストルの弾丸の10倍もの速度で飛び交っており、これらが衝突すればさらなる破片を生んで「デブリクラウド」と呼ばれる破片群を形成します。これは新たに打ち上げる衛星や有人機にとって深刻なリスクです。アポロ11号の月面着陸から半世紀。最近は、民間企業が主導する様々な宇宙開発プロジェところが、東京理科大学の木村真一教授は、「宇宙は過酷なだけでなく、“やさしい”側面も9from Z_Vol.35_2025 スペースデブリの除去には高度なロボットシステムが必要ですが、私たちが研究を始めた1990年代当時、宇宙用の部品は高価で用途も限られていました。そこで私は、身近な民生機器を宇宙用に転用できないかと考え、ロボットに搭載するカメラとしてデジタルカメラに注目しました。「放射線の強い宇宙ではすぐに壊れる」と否定的な意見もありましたが、実際に放射線を当てて調べた人は誰もいませんでした。そこで、とにかく実際に試してみようと思い、カメラに放射線を照射しては影響を評価し、耐久性のある部品の選別を行いました。そして、最終的にはそれらを組み合わせて宇宙用のカメラを自作しました。1965年生まれ。1993年東京大学大学院 薬学系研究科製薬化学専攻 博士課程修了、郵政省通信総合研究所(現独立行政法人情報通信研究機構)の主任研究員を経て、2007年より東京理科大学理工学部電気電子情報工学科准教授、2012年より教授。現在は創域理工学部電気電子情報工学科教授、スペースシステム創造研究センター(SSI)センター長。宇宙開発の原点は、スペースデブリへの危機感からI n te r v ie w
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