ivretnI5from Z_Vol.35_2025 OKIサーキットテクノロジー株式会社鶴岡事業所技術本部本部長室井 正人氏ら+125℃と温度差が非常に大きく、さらに極低圧かつ微小重力下で使われることもあり、対流冷却が働かず温度ムラも生じやすくなります。そのような厳しい環境下に置かれるプリント配線板は樹脂、ガラス、銅という熱膨張係数が異なる素材の複合体でできていることから、熱膨張の繰り返しによってクラック(亀裂)が入ることがあり、それが信頼性低下の原因となります。これらに対処するため、発熱源の配置や銅箔厚、ビア構造を最適化し、シミュレーションも設計段階で徹底して行い信頼性を担保します。 製造プロセスにおいては、機械加工や薬品による化学処理など複数の工程があり、それぞれにおいて細かな条件管理を行っています。前述の通り、熱膨張はプリント配線板にとって大敵で、特に厳しいのがZ方向(プリント配ドリルビットの寿命管理を厳密にし、極めて高精度なドリル加工を施し、穴内壁を滑らかに仕上げることで、応力集中を防いでいます。穴の内側に施す銅めっきの厚みを、民生品より厚くするなどもひとつの事例です。また、JAXA認定を取得するには、特定の製造条件で試験をクリアする必要があり、それらを満たすための設備条件や加工手順も独自に設計しています。 当然ながら宇宙向けプリント配線板は民生品と比較してより厳しい検査をクリアしたものが出荷されます。厳線板の垂直方向)への応力です。そのため、穴あけ加工では――本日はお忙しい中、ありがとうございます。早速ですが、貴社が宇宙産業分野へ本格的に取り組むようになった経緯についてお聞かせください。佐藤氏 もともと、当社は国内産業を支えるプリント配線板の製造に取り組んできました。スマートフォンやPC向けの大量生産ではなく、少量・高品質かつ20年供給が求められるような産業用途が主軸でした。 その延長線上で、さらに高信頼性が要求される分野として宇宙用途が浮上してきました。日本の宇宙開発草創期からプリント配線板は重要な機能部品のひとつであり、当時は、NASDA(宇宙開発事業団、現JAXA)が独自にプリント配線板の仕様を定め、厳格な認定制度を設けていました。 当社もその認定取得に動き、2種を取得していたことから、JAXA向けのプリント配線板製造で実績があった日本アビオニクス株式会社のプリント配線板製造部門の事業譲渡話が持ち上がった際に手をあげました。いくつかの候補企業の中から、当時のOKIサーキットテクノロジーが譲渡を受ける形で合意しました。事業移管にあたり、日本アビオニクス側が取得していたJAXAの認定を当社ですべて取得しなおす必要があり、これを機に宇宙産業に本格的に参入することになりました。――宇宙用のプリント配線板では、真空や極低圧、極端な温度変化など、地上とは異なる過酷な条件や、打ち上げ時の極度な加速や振動も考慮する必要があります。そうした中で、御社はどのような技術的な工夫を行っているのでしょうか?室井氏 まず、プリント配線板の設計段階から信頼性を確保することを徹底しています。宇宙では概ね-30℃か2018年、山梨アビオニクス在籍時にOKIサーキットテクノロジー株式会社への製品移管業務を担当。その後転籍。2019年品質保証部部長、2021年上越事業所との統合後、品質保証センター副センター長、2023年品質管理部部長を経て、2025年技術本部本部長に就任。信頼性を限界まで高めて宇宙へ事業承継から始まるJAXA認定への道宇宙の極限環境に挑む超精密プリント配線板製造の職人技e w
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