fromz-vol35
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製造技術の高度化やグローバル化、ニーズの多様化により、現代のモノづくりはますます複雑化している。その中で求められるのが、「個別最適」ではなく「全体最適」の視点である。その全体最適を支える手法が、システムズエンジニアリング(SE)だ。1950年代に米国の軍需産業や航空宇宙分野で生まれた「目的から逆算する」というこの考え方は、失敗の許されない宇宙開発の現場で広く普及し“共通言語”となっている。東 京 科 学 大 学 の 坂 本 啓 教 授 は、 模 擬 衛 星「CanSat※」や展開型超小型衛星「OrigamiSat」シリーズの実証を通じてSEの重要性を学生に伝え、その概念を設計現場に根付かせようとしている。坂本教授の取り組みを手がかりに、日本の製造業が直面する人材育成と組織課題、そしてSEの可能性を探る。国立大学法人 東京科学大学 工学院 機械系 教授NPO法人 大学宇宙工学コンソーシアム 理事長※CanSat(缶サット):宇宙技術の教育を目的として、小型衛星で用いられるものと類似の技術を使用して製作される、飲料水の缶サイズの小型の模擬人工衛星。東京大学大学院で航空宇宙工学を専攻後、米国コロラド大学ボルダー校にて博士号(Ph.D.)を取得。2005〜2006年には日本学術振興会特別研究員としてマサチューセッツ工科大学に滞在し、国際的な研究経験を積む。2008年より東京工業大学(現・東京科学大学)で助教・准教授・教授を歴任し、現在も同大学にて教育・研究に従事している。専門は宇宙工学で、とりわけ人工衛星に搭載する宇宙構造物の設計、構造動力学の研究に注力。折り紙の幾何学的特性を応用した「折り紙構造」を主要テーマに、軽量かつ高機能な宇宙構造物の開発に取り組む。研究と並行して、特定非営利活動法人(NPO)大学宇宙工学コンソーシアム(University Space Engineering Consortium, UNISEC)にも参画しており、2024年に理事長に就任。UNISECでは、大学・高専学生の手による超小型衛星、CanSat、ロケット開発など宇宙工学の分野で、実践的な教育活動の実現を支援している。12I n t e r v i e wfrom Z_Vol.35_2025目的から逆算した設計が現場を変える宇宙開発の共通言語を製造業に坂本 啓 氏

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