※from Z_Vol.35_2025Decentralized Autonomous Structure)」と い う 宇 宙 居 住 モ(宇宙開発利用加速化戦略プログラム)」の支援を受けながら、清ジュールコンセプトの研究を進めています。HIDASは、災害時の仮設居住用として市販されているインフレータブル型テントをベースに、宇宙空間への適応性を高めた構造体です。地上ではビニール製の素材が使われていますが、宇宙空間の真空環境に耐えうる素材が必要です。そのため、現在は国土交通省の「スターダストプログラム 水建設を筆頭とした共同研究体制のもと、高強度膜材を活用し、宇宙適合性の高い居住構造の開発に取り組んでいます。 日本の製造業では、いまだに「宇宙は官の領域であり、民間のビジネスは成立しにくい」と考える傾向があります。実際問題として、宇宙市場は単価こそ高いものの「個数が出ない」という側面があり、量産を前提とする企業にとっては採算が合いづらい面があります。そのため、宇宙分野を単独の市場として捉えるのはリスクが高いです。 だからこそ重要になるのが、宇宙を“特別な市場”と切り分けるのではなく、地上の技術と一体化させる「地上–宇宙デュアル開発」のアプローチです。まずは地上で技術を育て市場を維持しながら、宇宙でも使える形に展開する。この先鞭を打つことができれば、宇宙分野でも技術の採用が進み、いずれ“デファクトスタンダード”として長期的に大きな優位性を持つことができます。現在は、宇宙に本格的な市場ができ上がる前のいわば黎明期です。だからこそ、ここ数年は日本の技術が宇宙でイニシアティブを取るための、極めて重要な時期になると感じています。 最近になって「宇宙戦略基金が整いつつあり、宇宙ベンチャーの数も確実に増えています。海外でも民間宇宙ステーションや宇宙旅行事業を進めており、宇宙開発は官から民へと確実に軸足を動かしています。また、アルテミス計画の月面探査に向けた中継基地である月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」の生命維持装置の開発を日本が担当することが決まってお」をはじめとする支援制度り、日本の技術への世界からの期待も非常に大きいです。こうした追い風の中で、自社の技術を宇宙に応用できる可能性に、ぜひ目を向けていただければと思います。 現在、さまざまな業界で進む「情報化」は、宇宙分野でも極めて重要です。日本は年間のロケット打ち上げ回数が限られており、打ち上げ頻度の高い国々と比べて不利な立場にあります。この差を埋めるには、情報管理・活用面での優位性、つまりDX(デジタルトランスフォーメーション)が鍵になると考えます。 設計のデジタル化やシミュレーションの高度化によって、限られたリソースでも競争力を高めることができます。だからこそ、よりアグレッシブに情報を資源として扱い、「量」に変わる価値を創出していくことが求められるのです。その際に不可欠なのが、企業や研究機関などをまたいだ“横の連携”です。2023年には「宇宙活動法に際し、産業界からも「情報共有」や「評価の統一化」への要望が挙がりました。ノウハウとして保持したい部分は各社が持ちつつも、共通部分は連携して業界全体で活用できるプラットフォームを整備することが、次のステップになると考えています。 この情報基盤の確立においても、日本の今の立ち位置は優位になりますし、これまでの製造業のノウハウは活かすことができます。さまざまな産業の方に今ある技術やノウハウの宇宙転用を視座にいれていただき、一緒に日本の宇宙産業を盛り上げられたらいいですね。(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)」の見直し 現在、私の研究室では「HIDAS(Homeostatic Inflatable ※宇宙戦略基金:日本の宇宙開発を推進するために、政府がJAXA(宇宙航空研究開発機構)に設置した基金。民間企業や大学などの宇宙分野の技術開発や商業化を支援するために、10年で総額1兆円規模の資金を投入している。11この黎明期に先鞭を打ち、デファクトスタンダードを確立する日本がイニシアティブを取るための鍵は横の連携を活かした情報面での優位性確保I n te r v ie w
元のページ ../index.html#11