※3 参照 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/ouranos.html現代の製造業では、サプライチェーンの多様化が進む一方で、地政学的な緊張やパンデミック、自然災害などによる供給網断絶リスクも高まっています。これらのリスクに対応し、低減させるためには、サプライチェーン全体を可視化し、企業間でデータを共有することが重要です。また、近年の脱炭素規制強化により、企業間デー製造業でデータ連携が進まない理由には、いくつかの要因があります。まず、競争優位性を確保するため、情報共有への抵抗感が他業界と比較して強い点が挙げられます。製品設計や製造プロセスなどの機密情報までもが漏れてしまうのではとの懸念が根強く存在します。また、多くの企業や部門が関与するため、標準化やシステム統合が難しいことも課題です。工程が複雑な製品であるほど長大なサプライチェーンになりがちなため、膨大な検討工数やシステム変更のリスク、新たな投資負担が連携を妨げる要因となっています。一方で、データ連携が求められる背景には、連携しないと対処できない課題の増加が挙げられます。例えば、欧州バッテリー規制では、製品のカーボンフットプリントの開示や原材料のトレーサビリティが厳しく求められます。このような規制に対応するには、サプライチェーン全体でのデータ共有と透明性の確保が不可欠です。連携がなければ、必要な情報を取得で企業間データ連携の取り組みとして、「欧州バッテリー規則」が注目されています。ここでは、原材料レベルでのトレーサビリティ確保が求められており、サプライチェーン全体にわたるデータ連携が不可欠となっています。こうした規制への対応を支える基盤として、欧州では「Catena-X」が注目されています。これは、製造業界全体のデータエコシステムを構築するたタ連携の重要性が一層高まっています。欧州では、製品のカーボンフットプリントの開示や削減が義務化されつつあり、これを実現するにはサプライチェーン全体での協力が欠かせません。企業間データ連携は、もはや「便利な選択肢」ではなく、ビジネスを継続する上での必須条件となっています。きず、規制を満たせないことで市場から排除されるリスクが高まります。く、データを適切に開示して、自社の取り組みや技術力をアピールすることで、新たなビジネス機会や顧客からの信頼獲得にもつながるということです。また、フロントローディングの観点からもデータ連携の重要性は増しています。設計段階で後工程の課題を予測し、データを活用して解決策を講じることで、全体最適を実現できるだけでなく、部門や企業間の連携により、製品開発の効率化、コスト削減、品質向上が可能となり、市場投入までのスピードが飛躍的に向上します。手段であると同時に、競争力強化と全体最適を目指すための鍵となる要素です。企業活動の基盤として、今後ますますその重要性が高まっていくでしょう。めのプラットフォームで、自動車産業を中心にサプライチェーン全体でデータを安全かつ効率的に共有できる仕組みです。また、日本では経済産業省が中心となり「ウラノス・エコシステム」※3という取り組みが進んでいます。これは、日本国内の製造業を中心に、企業間のデータ連携を推進するためのプラットフォームです。これらのプつまり、データ連携は単に課題を解決するだけでなこのように、データ連携は規制対応やリスク回避の18from Z_Vol.34_2025重要性が増している理由「データ連携」が敬遠される背景/必要な理由「企業間データ連携」の動き
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