tcennoCevirhTot Thrivevol.2ConnectCO2※1 人権デューデリジェンス(Human Rights Due Diligence):企業が増大する人権リスクを調査・特定し、防止およびトラブルを対処する取り組み※2 参照 https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/seminar/2024/ea78b40959861f02/240314_2.pdf需給データ環境データ製造プロセス関連データ規制対応データ効率的な企業活動今回は「企業間」さらに「データ」がつながる重要性について述べたいと思います。サプライチェーンの複雑化や規制強化が進む中、企業はどのようにデータ連携すべきなのでしょうか?企業活動を円滑に営むために必要な情報は数多く、前回、「つながる」重要性について解説させて頂きましたが、連携の重要性にも優劣があるのが実情です。その中でも、特に重要な項目を挙げてみます。1:需給データ直近の受発注情報に加えて、中長期の発注見込みや納品見込みも、企業間の取引関係に応じて共有されることが求められています。しかし、サプライチェーンがますます複雑化する中で、情報共有の範囲は直接取引のない企業にも広がりを見せています。2:環境データCO₂排出量やエネルギー使用量のデータ共有は重要性を増しており、製造業では環境負荷の「見える化」が急務となっています。特に欧州では、製品のカーボンフットプリントの開示や削減を求める規制が進み、二次電池製造への対応が自動車業界を中心に加速しています。これに関しては後述します。3:製造プロセス関連データ製造条件や品質管理情報を共有することで、生産効率とトレーサビリティの向上が実現します。さらに、製品ライフサイクル管理(PLM)データを共有すれば、設計から廃棄に至るまでの全体最適が可能となり、メンテナンスの効率化や環境負荷の削減にもつながります。4:規制対応データ製品の成分情報や法規制への適合データを企業間で共有する重要性が高まっています。これにより、法規制遵守を対外的に示すことができます。また、「人権デューデリジェンス」※1により、人権リスクの評価や予防策の実施が必要とされてきており、例えばアシックスは特定の原材料について優先して、4次サプライヤーまでのトレーサビリティ確保に努める※2とされています。 業界によって、重要視されるデータは異なります。例えば、半導体製造では品質データや輸出規制への適合データが、二次電池製造ではサプライチェーン全体のCO₂排出量管理データが、食品製造では温度管理やアレルギー物質の混入リスクに関するデータが他の業界に比べ重要ではないでしょうか。しかし、これらの企業間におけるデータ連携は必要最低限の範囲にとどまり、十分に進んでいるとは言い難いのが現状です。17from Z_Vol.34_2025はじめに企業間データ連携不確実な時代を乗り越える鍵「企業間データ連携」
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