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図研のサポートメンバー(左:開発 秋元、右:営業 岩瀬)と一緒に小さな成功体験を積み重ねながらMBSEの裾野を広げる(When)、誰が(Who)、どのような決定経緯(Why)でその情報源(Single Source of Truth)」として活用するため、データ品質の担保が非常に重要です。本プロジェクトでは、リアルタイムで情報の完全性や整合性を維持し、問題発生時には迅速に復旧する仕組みを構築することで、システムモデルの信頼性向上を目指しています。大久保氏 情報構造体の運用管理において重要なのは、「正しい状態」を定義することです。具体的には、いつ報を「正しい」と判断したのかを管理し、情報更新時には自動でアラートを出し、最終的に正しい情報へ修正する仕組みを構築する必要があります。このシステムを成功させるためには、対象範囲を広げすぎず、小さなスコープから始め、得られる効果と労力のバランス、取り組み順序をコントロールしながら経験を積むことが重要だということがこれまでの取り組みから分かってきました。この段階的なアプローチにより、効率的に情報管理のプロセスを改善し、開発現場での実践的な運用を支える体制を構築することができると考えています。飛鷹氏 これまでホンダはIn Carのシステム開発を中心にMBSEを展開してきましたが、今後はOut Carを含む大規模かつ複雑なSDV(Software-Defined Vehicle)開発においても、リーダーシップを発揮できるエンジニアの育成に注力していきます。これにより、会社全体を俯瞰し、リスクを適切に判断しながら合理的な設計を行える体制を構築します。また、情報構造の保守・運用面では、拡大する適用範囲や加速する開発スピードに対応しながら、情報の完全性、一貫性、正確性、整合性をリアルタイムで保証する効率的な運用体制の構築が当面の目標です。この点で、図研との連携は今後さらに重要になっていきます。大久保氏 ホンダの開発現場は、メンバー個々が自らの意思を持ち問題解決に取り組む力が強いため、トップダウンの指示やIT部門の主導だけではMBSEを成功に導くことは困難だと思います。だからこそ、MBSE活用への主体性と目的意識を醸成する体制づくりが必要でしょう。具体的には、開発現場で日々直面する課題に対して高い解決モチベーションと能力を持つメンバーと、その意図を理解し具体的な解決策を提案できるサポートメンバーを組み合わせたワンチームを形成することが重要だと考えています。このチームで目的や課題感を共有することで、短期間で小さな成功体験を積み重ねることができるようになります。これにより、チーム全体として徐々に視座を高めてMBSEの活用範囲を広げながら、効果の実感をもって前に進めると考えています。MBSEはすぐに結果が得られる取り組みではありません。日々試行錯誤を繰り返し、少しずつそのメリットを実感する人を社内に増やし浸透させていく。長期的目線が必要な取り組みだと思います。13from Z_Vol.34_2025

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