w9Intervie新オープたンイなノベー潮ション流が拓 く半導体の未来横浜発、半導体イノベーションのChatGPTなどの生成AIの急速な普及、TSMCの熊本工場建設、ラピダスの新工場建設など、半導体関連のニュースが連日報道され、半導体への関心が高まっている。かつて世界を席巻した日本の半導体産業は、現在も競争力を維持する後工程技術の強みを活かし、再び世界をリードする可能性を秘めている。一方、新しい技術の登場により、従来の半導体製造工程である前工程と後工程の境界線が曖昧になりつつあるとの見方がある。日本の半導体研究をリードする横浜国立大学の井上准教授に、チップレットや三次元実装など半導体をとりまく最新技術の研究内容やそうした技術が日本の半導体産業にどのような影響をもたらすのかについて話を聞いた。横浜国立大学 大学院工学研究院システムの創成部門 准教授 博士(工学)半導体・量子集積エレクトロニクス研究センター副センター長1986年生まれ。関西大学大学院で博士号を取得後、2011年からベルギーにある世界最大の半導体研究開発コンソーシアムimec(Interuniversity Microelectronics Centre)にて、3Dプロセスの研究に従事。2022年には、日本人初となるIEEE EPS国際賞を受賞。70社以上の半導体関連企業が参画する半導体コンソーシアム「3DHI」を立ち上げるなど、学術と産業の両面で活躍する気鋭の若手半導体研究者。スマートフォンやパソコン、自動車などあらゆる身近なところで大量の半導体が使われています。最近特に、注目されているのが「データセンター」です。自動運転、スマート工場、AIロボット、スマートシティなど、さまざまなデジタル産業でデータ処理が欠かせないものとなり、その処理量は年々増加しています。量子コンピューティングや生成AIなどの技術進展により、2030年には現在の30倍以上のデータ量が全世界で流通するといわれ、2050年には4,000倍にもなるという見通しもあります。それらのデータ処理の大半はインフラともいえる「データセンター」が担っており、経済安全保障の視点からもその重要性が増しています。需要が急拡大しているデータセンターですが、データ処理量が増えると、電力消費量も増加するという課題があります。データセンターの電力消費は非常に大きく、その80%は空調や冷却にかかるものではなく、ロジックエネルギー消費と経済安全保障から見た先端半導体開発の重要性井上 史大氏
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