fromz-vol33
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IMX500,IMX501図3可視光で撮影図4撮影シーンシリコンウェーハを透過撮影した例(SWIRイメージセンサー)インテリジェントビジョンセンサー(IMX500/IMX501)の特長・選択可能な出力データ形式・メタデータの出力が可能※センサから先にイメージデータを出力しないことも可能ソニー独自の DSPメタデータ通常の撮影画像ISP出力形式の画像 (YUV/RGB)ROI画像SWIRで撮影(1550nm)出力8仮屋 今後の展望についてはどのようなことをお考えでしょうか岩元氏 Cu-Cu接続を応用展開していきたいです。例えばシリコンは可視光しか吸収しないので、人間が見える光だけしか電子に変換することができません。短波長赤外(SWIR)は吸収係数が小さいので、その光が入っても電子には変換されないんです。でも、この短赤外の光も見えるようになると、さまざまなメリットがあります。業界ではすでに産業用途や学術的用途などで赤外光をキャッチする試みがされています。SWIRの吸収係数が高い化合物半導体のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)と読み出し回路のSi(シリコン)は一般的にバンプで接続されています。現状のバンプサイズは最小でも20μm程度なので、1画素にひとつバンプが必要であるとすると1画素は20μm以下にはできず、解像度の低い絵しか撮像することができません。しかし私たちはそれをCu-Cu接続にすることで、3μmの画素サイズを実現しました。これは、SWIRセンサーなどさまざまなセンサーに応用できます。先ほどお話した積層型CMOSイメージセンサー製造時に必要なウェーハの上下位置合わせも、今は非可視光で上層から下層までを一気に見て、マークのアライメントを計測しています。ウェーハはどうしても伸び縮みするので、露光機並みの精度でモニタリングして貼り合わせをしています。 さらに、AIの可能性についても訴求していきます。現在量産中のAI処理機能を搭載した世界初のイメージセンサー「インテリジェントビジョンセンサー(IMX500)」は、積層の論理回路チップの中にソニー独自のAI処理可能な回路を入れることで、用途に応じて出力データ形式を選択でき、扱うデータ量を削減することができます。例えば、イヌを撮影した場合、メタデータの「dog」というテキストだけを出力することができます。もちろん、通常のRGBの絵としても出力可能ですし、データ容量を下げるために白黒にして出力することもできます。さらに、イヌの顔部分など、一部を切り出し伝送することも可能です。近年クラウド活用が進み、扱う情報量の増加に伴い、データ転送の遅延、個人を特定できるデータをクラウド上に保存することに伴うセキュリティリスクの他、クラウドサービス利用時の消費電力や通信コストの増加などの課題もあるので、私たちはエッジAI技術に注力しています。 AppleやAmazon、Metaなど投資力のある大企業の多くはTSMCなどのファウンドリ―を活用し、独自のAIチップを使い始めています。大企業であればカスタム品を開発しても十分採算がとれますが、中小企業ではなかなか同じようにはできません。しかしカスタムの要求は必ずあるので、汎用品からどうやって「ちょっとだけ」のカスタム品へつなげていくか。こういう需要に対してこそ後工程における高密度実装などを活かせばいいと思います。半導体のエコシステムの中で、図研はEDAベンダーとしてどんどん企業の設計業務に入り込み、今まで培ってきた後工程の経験や技術で差異化していっていただきたいと応援しています。仮屋 本当におっしゃる通りです。今後は半導体の前工程のエンジニアの皆様とも対話の機会を増やし、足りない技術があれば我々のツールで支えられるようになれればと思います。今日はありがとうございました。AI今後は赤外線センサーなどの他商品や、自社製品の開発にCu-Cu技術を活用

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