ProfileMamoru Takami秋田県出身。1998年電気通信大学を卒業後、FA(ファクトリーオートメーション)機器メーカーのキーエンスに営業担当として入社。自動車・半導体・金属加工・食品など幅広い業種の製造現場に入りこみ、現場知見を蓄積した後、本社販促部門を経験。2012年ベンチャー企業に転職し、FA専門紙「オートメーション新聞」の立ち上げに携わった後、関連のロボットSIer企業(ロボット導入など、工場の自動化を実際に行う企業)で広報・渉外領域の責任者を経て、2023年6月に独立。現在は「製造業」×「技術」を軸に、オートメーション新聞の記者や依頼企業の新規事業開発の支援に携わる。19働き方やコミュニケーションの仕方の変化も、つながりの重要性を高めています。コロナ禍を契機に、物理的な距離を超えたつながりの重要性が一層認識されるようになりました。これまでWEB会議やクラウドストレージに否定的だった企業も、これらのツールの利便性を理解し、コロナ禍が収束した後でも定着しつつあります。では、なぜ今、これらの“つながり”がこれまで以上に重要なのでしょうか。それは、技術の進展や社会情勢の変化がこれまでにない速さで進んでいるからです。例えば、デジタル化の進展により、ビジネスモデルが劇的に変化している業界も少なくありません。これに対応するためには、迅速な情報共有と柔軟な連携が不可欠です。また、気候変動や人口動態の変化など、グローバルな課題への対応も求められています。これらの課題に対しても、企業単独では対応が難しく、多様なステークホルダーとの連携が必要となります。グローバルな課題としては、環境問題、サプライチェーン強化、経済安全保障など社会情勢の変化が挙げられます。例えば、製造業におけるカーボンフットプリントの削減は、サプライチェーン全体での取り組みが求められます。上流のサプライヤーから下流の流通業者まで、各ステークホルダーが協力してエネルギー効率の向上や廃棄物削減に取り組むことで、全体的な環境負荷を低減していく必要があります。さらに、グローバル化が進む中、サプライチェーンの断絶や遅延は、製造業にとって大きなリスクであり、これを防ぐためには、サプライチェーン全体の可視化と連携が必要です。サプライチェーン全体でのデータ共有を促進することで、予測分析を行い、需要変動に柔軟に対応することで、在庫の最適化やコスト削減も期待されています。経済安全保障の重要性についても同様です。特に製造業においては、重要な資源や技術の安定供給を確保するための戦略的な連携が必要で、企業間のみならず政府レベルでの連携も重要になってきます。半導体などの重要部品の供給が地政学的な影響を受けるリスクを軽減するためには、多様な供給源を確保することが求められます。また、国内外の企業や政府機関との連携を強化し、重要資源の安定供給を確保するための協力関係も築くことが重要です。さらに、サイバーセキュリティ対策の強化も、経済安全保障の観点から欠かせません。企業内外のネットワークのセキュリティを確保し、サプライチェーン全体でのリスク管理を徹底することが求められます。最後に、つながりや連携のためには、信頼関係の構築が不可欠です。信頼関係があって初めて、情報の共有や協力が円滑に行われます。企業内外のコミュニケーションを積極的に行い、相互の理解と尊重を深めることが重要です。信頼関係が構築されることで、組織はより強固になり、外部の変化にも柔軟に対応できるようになります。次回からは、具体的な事例や実践的なアプローチを交えながら、企業活動におけるつながりや連携の重要性について探っていきます。皆様のビジネスに少しでもお役に立てれば幸いです。高見 守働き方の変化社会情勢の変化信頼関係の構築
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