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取材後、図研 執行役員 藤原と一緒に8最後に、これらの「Panasonic GREEN IMPACT」に対する企業方針についてお話したいと思います。我々パナソニックグループは1970年代より公害対策に取り組んでおり、1991年には環境管理基本方針(松下環境憲章)を制定し、1993年にはいち早く環境宣言を制定しました。当時は大気汚染や水質汚染などの環境汚染、あるいは製品そのものに有害物質が混入されているなどの問題があり、それらをなくしていこうというところからスタートしています。この根底にあるのは、新しいテクノロジーを使って世の中になかったものを生み出す過程において、環境に与えたインパクトは帳消しにしたうえで世の中を豊かにしていくという考え方です。有毒ガスや汚水を排出している工場は先進国ではもう存在しなくなっていると思います。今は次のテーマとして、CO₂が地球環境に大きな影響を与える物質として注視されています。CO₂は目に見えず無味無臭のため、直接的には排出していることが分かりにくく、注意を喚起するにはいろいろな工夫が必要だと思いますが、企業活動において多くのCO₂を排出している製造業が果たすべき責務ですので真摯に取り組む必要があります。また、大量にモノを作って廃棄して終わりではなく、作ったモノの再活用や、再活用ができなくなった際にはバラバラにして素材に戻すべきといったサーキュラーエコノミーの考え方がこれからますます大事になっていくでしょう。18世紀後半に蒸気機関が発明されて以降、第二次産業が発達してきましたが、その前半は多少地球に影響があったとしても、どんどん新しいモノを使って、世の中を豊かにしていこうという流れでしたし、その影響も限定的であったために当時はそこまで気にされていませんでした。しかし、今はイノベーションが地球に与える影響が大きくなっています。その点において、やはり同分野にいる人がこれまで起こしてきたインパクト、あるいはこれから起こすようなものを帳消しにする取り組みをする義務が絶対にあると思っています。逆に言えば、そのテクノロジーを起こした人に帳消しにする能力があるはずだと考えています。過去を振り返れば、化学工業が起こした公害を元に戻したのも、化学者の方々でした。課題を引き起こした人というのはそれを解く力もあるはずです。CO₂を多く排出する製造業に身を置く者として、責任感を持って脱炭素に取り組んでいかなければならないと考えています。イノベーションを起こした者は環境に与えたインパクトを帳消しにする義務も能力もある

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