Interview7図3ペロブスカイト型太陽電池産してきました。現在ではコバルトフリー電池を実現する技術を確立しており、コバルトを使わない「Coフリー」のリチウムイオン電池の実用化も射程内になっています。材料調達の自由度を増し、EV用リチウムイオン電池を安定的に市場に供給することで、継続的にCO₂の削減に貢献できる環境を整えたいと考えています。「FUTURE IMPACT」は、新技術や新事業による社会へのCO₂排出削減貢献インパクトです。今はまだ世に存在していない技術や事業開発を通じて、2050年までに1億トン以上のCO₂排出削減貢献を掲げています。現時点では3つの取り組みを進めており、ひとつ目はペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池「ペロブスカイト型太陽電池」です。これまでの「シリコン系太陽電池」や「化合物系太陽電池」にも匹敵する高い変換効率を達成する一方で、液体材料を用いてインクジェット方式で材料への塗布が可能なため、さまざまな製品に加工して太陽光発電ができると注目を集めています。現在は生産設備の開発も含めて推進しており、神奈川県藤沢市の街区「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」に新設されたモデルハウスのベランダに、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを5枚設置し、目隠し性と透光性を両立させたデザインや長期設置による発電性能や耐久性などを検証しています。実用化までにはまだしばらく時間がかかると思いますが、さまざまな場面で太陽光から電気を作ることができる研究開発をしています。2つ目は、水素そのものを作る水素生成実用化の取り組みです。日本のようにエネルギーを自給できない国は、石油、天然ガス、石炭の輸入に頼るしかありません。しかし、有事などでこれが全てストップしてしまったら行き詰まってしまいます。そういう意味で水素を自分達で生成できることは非常に大事だと考えています。また、グリーンエネルギーの購入に関しても、今後の需要増加にともない量が足りなくなれば、結局は化石燃料で作った電気を購入せざるを得ません。それを避けるためにはグリーンエネルギーの比率を上げる必要があります。水素の生成には電力を要しますが、再エネ由来の電力を利用すればグリーン水素を作ることができます。そして、何より水素には貯めておくことができるというメリットがあります。我々は都市ガスやLPガスなどから水素を取り出し、酸素と化学反応させて電気を作るエネファームの仕組みを基礎に、その逆反応を起こす試みを研究所レベルで行っています。既に世の中にはいろいろな技術が存在しますが、違うアプローチでパラダイム変化を起こせないかというチャレンジです。そして、3つ目はエネルギーマネジメントです。需給バランスをきちんと取ることで、効率的な電力の利用が可能になります。いくら太陽光発電や水素発電などで一生懸命発電したところで使い切れなければ捨てざるを得ず、電力のロスが生まれてしまいます。管理する単位は広域の場合もあれば、ビル一棟に限られる場合もあると思いますが、あらゆるシーンで需要と供給のバランスがしっかりとれた、効率のよいエネルギー利用を可能にする取り組みをしていきます。この「FUTURE IMPACT」に関しては未来の話なので、2050年に至る間には、もっともっと新しい挑戦が出てくるだろう、出さなければならないと思っています。これから20年以上ありますから、新たな技術革新やシステムの開発にも積極的に取り組んでいきたいです。3つの研究開発に加えて、将来的な技術革新も視野に
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