fromz-vol32
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ThinkingMethodイノベーションとウェルビーイングの深い関係17(広義の健康)(狭義の)健康最近よく聞くウェルビーイング(well-being)という単語ですが、1946年に世界保健機関(WHO) の憲章前文において「Health(健康)」の定義の中で使われたのが始まりといわれています。健康の定義とは、“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”です。日本語に訳すと、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない(平成26年版厚生労働白書)」となります。ここではwell-beingは「良好な状態」と訳されています。確かに、wellは良好、beingは状態という意味ですから、読んで字の如く、良好な状態という訳はしっくりきます。なお、近年、日本WHO協会は「満ち足りた状態」と仮訳していますが、厚生労働白書の訳の方が直訳的であるといえるでしょう。近年の日本ではウェルビーイングが「幸せ」という意味で使われることが増えています。また、SDGsの3番目は“good health and well-being”ですが、これは「すべての人に健康と福祉を」と訳されています。よって、well-beingはSDGsの一部と考えることもできそうです。しかし、SDGs自体は、地球上の生きとし生けるもののwell-beingのための複数のゴールですから、well-beingはSDGsを束ねて包含する上位概念であるということもできるでしょう。そのように考えるならば、地球環境問題の解決などのSDGsのたくさんのゴールも、社会のウェルビーイング向上のための取り組みであるといえるでしょう。この原稿では、ウェルビーイングという単語を主に幸せ・幸福という意味で用います。私はイノベーション(1)とウェルビーイング(2)の研究者ですので、最終回となる今回は、イノベーションとウェルビーイングの関係について述べたいと思います。まず、ウェルビーイングの定義について述べ、次にイノベーションとウェルビーイングの関係についての研究結果を紹介します。最後に、ウェルビーイングを高める方法のひとつであるウェルビーイングダイアログについて紹介します。幸せ幸福ウェルビーイングの説明図happi-ness感情としての幸せ福祉最終回はじめにWell-being良好な状態ウェルビーイングとは?

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