fromz-vol31
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ITRIが設計・開発したSiCウェーハ ※4 RDL(Redistribution layer)…WLPのFan-Outや2.5D実装のデバイス構造の中にある、Cuと絶縁層で形成された配線層のこと。再配線層とも呼ばれ、半導体チップと外部取出し部までをつなぐ役割がある※5 毛細管現象(もうさいかんげんしょう)…細い管状物体(毛細管)の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく管の中を移動する物理現象のことEV充電スタンド向けSiCパワーモジュール7本やヨーロッパが非常に進んでいますが、台湾もダークホースとして追い上げてきていると思います。パワーモジュールの重要な課題は、放熱と信頼性です。特に発熱量の多いパワーモジュールは、製品全体の安全性や性能に影響を与えるオーバーヒートを避ける対策が必須となります。ITRIでは、電気伝導性を確保するダイボンディングや、良好な放熱性と安定性を実現するための材料とパッケージ構造のマッチングの最適化など、パワーモジュール実装における重要なプロセス研究に長年投資してきました。ダイボンディングで、我々は日本の三井金属と共同で銅の焼結プロセスと材料について研究し、銅焼結材料で、SiCパワーデバイスの接合を気孔率3%以下を抑えることに成功しました。この技術は ITRI が受託したパワーモジュールのテストプロジェクトに適用され続けています。また、蓄積された経験は、多くの自動車部品メーカーに支持され、我々は最終用途の開発を多く任されるようになっています。自社開発した高電圧SiCパワーデバイスをモジュール化し、EV充電パイルに組み込んだ実用例は、今年(2023年)の10月に名古屋で開催されるオートモーティブワールドで発表する予定です。これまでに、我々の半導体業界に関する取り組みと成果をご紹介しました。最後にこれらの研究を進めるうえで欠かすことができないEDAについて話します。EDAは、半導体製造の上流であるIC設計会社でも、下流のファウンドリでも非常に重要なツールです。まず、上流から説明すると、IC設計はあまりにも複雑なので、EDAを使わずに設計することは不可能です。デザイン、最適化、分析、シミュレーションまで、いずれもEDAに頼る必要があります。設計の複雑さに比例してEDAの必要性が高まるため、世の中には非常に多くのEDAが存在します。そして、非常に複雑化しています。例えば、コンパイラツールでは、0から1の間の変数を調整するための多くのスイッチが存在し、数千個のスイッチを制御する必要があります。各スイッチの調整には深いEDAの知識が求められるため、設計者が各種機能をどのように使うのかを完全に理解するのはとても大変です。そこで、メーカーのアプリケーションエンジニア(AE)の支援が必要となります。さらに、AEだけでは解決できなかった場合、エンジニアの助けも必要になります。非常に厳格な設計環境においては、機能に対する多くの知見が必要となりますが、大手EDAベンダーベンダーと設計者の協調なしにEDAの進化はない

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