Intewervi6エンベデッドインターポーザーキャリア、EIC アーキテクチャ(左)特許を取得したTGPリッドコンポーネント(右)実際にウェーハで使用されているTGPリッドMPULPDDR4のように対峙し、研究を重ね、成果を得たのかについてご紹介します。マルチチップパッケージ(チップレット集積)が活用されるのは、主に多品種少量の製品です。多品種少量に関する市場からの要望は年々高まっていますが、実際に対応するのは非常に困難です。ITRIでは少量生産向けの2.5D、3Dパッケージのパイロット生産ラインを設立しており、多くの業界人から関心を寄せられています。我々が率先して試作を実施することにより、業界が製品の量産化に取り組むことを支援しています。2つ目の成果として、チップレットの開発があげられます。消費電力の低減と性能向上のため、半導体ファウンドリでプロセス改善が続けられていますが、コストがどんどん上がっています。特に半導体業界が指針とするムーアの法則は、3nmに向かうにつれて物理的限界を迎えており、プロセスの微細化ではすべての問題を解決できなくなっています。チップレットはムーアの法則を突破する方法と期待されているのです。次に取り上げる成果は、技術としてすでに市場で流通しています。シリコンインターポーザーは大きく、 高価ですが、IntelのEMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)と呼ばれる2.5Dパッケージング技術はシリコンインターポーザーを使わない代わりに、「シリコンブリッジ(silicon bridge)」と呼ぶ、小さなシリコン基板をパッケージの樹脂基板に埋め込むことで、コストを抑えて製造することができます。高速信号が必要ない製品に限定されますが、低速のインターコネクトを走らせることで価格を抑えることができるのでEMIBは普及が進んでいます。奇しくもITRIもインテルのEMIB構想に似たEIC(Embedded Interposer Carrier)アーキテクチャを提案し、インテルより2~3週間早く特許を取得しています。 EMIBとの違いは、EICはRDL(Redistribution layer)※4を使うことで、チップ自体を設計し直さなくても、下のEICにダイレクトに配線ができることです。 放熱の課題に対する成果としては、TGPというリッド(金属製の蓋)があげられます。チップレットは積層構造のため熱が逃げにくいという特性を持っているので、熱をいかに放つかが重要な検討課題となります。そこで、我々はチップ上に貼ることができるTGPを開発しました。このリッドは何層もの構造で作られており、中間は毛細管現象※5を利用して放熱する仕組みになっています。中には水が入っており、チップが熱くなると、水が蒸発して上部に移動し放熱します。水蒸気は冷めると水に戻り循環します。このTGPは台湾最大の放熱企業と協力し、量産を目指しています。現状200Wを超える熱を運ぶことができますが、今後より改良重ねて400W以上の放熱が可能になると見込んでいます。以上が、ITRIにおける半導体分野の先端技術の成果物です。近年、EVの普及に伴いパワー半導体が注目されていますが、特にパワーモジュールのパッケージは、EVの需要に応えるための重要なポイントです。この分野は日EVの普及で俄然注目を浴びるパワー半導体
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