MDWでのサムスン電子の展示地球温暖化ガスの排出削減に向けた世界的な潮流についてどう見ていらっしゃいますか? 製品の設計段階でのサステナビリティ検討の重要性について教えてくださいプリンテッド・エレクトロニクスの業界への参入を考えたきっかけは? 参照資料提供:工研院產科國際所※1 エレファンテックのプレスリリースhttps://www.elephantech.co.jp/press/press_release_20230704/ 図主要メーカー 再生可能エネルギー100% もしくはカーボンニュートラル達成目標 一覧14米国ネバダ州ラスベガスで開催されるテクノロジー見本市「CES」は、この数年で従来の「コンシューマーエレクトロニクス」の枠にとらわれない内容に広がってきています。2023年1月に開催された「CES 2023」では、イベントの共通テーマ「ヒューマンセキュリティ(人間の安全保障)」を掲げていました。その会場では多くの企業が展示の構成や各ブースでの説明において「サステナビリティ」の話題にかなりの力を割いていたことが非常に印象的でした。CO2削減やカーボンフットプリント(CFP)という課題についてもサステナビリティにおける重要なテーマのひとつなのですが、他にもサーキュラーエコノミーやゴミ削減、児童労働問題まで幅広くアピールしていました。さらに、イタリア・ミラノで2023年4月に開催された国際的なデザインの祭典「ミラノデザインウィーク(MDW)」では、サムスン電子の展示が特に印象的でした。同社は、冷蔵庫や掃除機などの家電の部品をバイオマスプラスチックに置き換えたりと生産を工夫して、CO2削減効果やごみ削減効果などがどれだけあるかを試算して展示していました。設計者が製品の形状や機能を設計するだけではなく、サステナブルな材料の選定、製品の生産過程から市場投入後のCO2排出量、さらには製品寿命を迎えた後の再利用までのライフサイクルについて考えなければいけない時代が確実にやってきています。SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International:国際半導体製造装置材料協会)も2022年11月に、半導体気候関連コンソーシアム(SCC:Semiconductor Climate Consortium)を設立。半導体バリューチェーンにおいて、温室効果ガス排出削減を加速させていくことを目指しています。また私たちがかかわる電子基板も、人類が生み出すCO2排出量全体の0.1%以上を占めているといわれています。Appleが公表しているデータによれば同社の製造工程におけるCO2排出量の10%が基板製造にあるとのことです。そのため、電子基板にかかわる企業にとってもカーボンニュートラルの議論はもはや無関係とはいえなくなってきています。例えば当社は、2023年7月にLogitechの「Future Positive Challenge」にてWinnerに選出※1、PoC(Proof of Concept)プロジェクトが実施される予定です。また、製造業大手企業ではネットゼロの達成目標を掲げ本気で取り組んでいます。「日本にはプリンテッド・エレクトロニクスの技術を伸ばしていけるポテンシャルがある」と考えたからです。日本は昔から材料技術が強く、インクジェットのプリンターの技術についても世界市場で優位性を持っており、国産メーカーも多く存在しています。そして、私が当時プリンテッド・エレクトロニクスの技術を初めて目の当たりにした時、「プリンターから回路が出てきて、しかも電気がちゃんと流れている!すごい!」という率直な驚きと感動があり、「これがビジネスになっていないのはおかしい。やった方がいい!」という直感もありました。当社は2014年に創業しています。ちょうどその頃、プリンテッド・エレクトロニクスの技術開発は過去2回くらいのブームの山を超え、下火になってきていたタイミングで当社はこの世界に参入してしまったわけです。 20452050Panasonic2025NOKIAMetaSIEMENSAppleDELTAMicrosoft2035TOYOTAacerASUS20302040SONYCISCOPRiMAXKIAHYUNDAIhpGMDELL基板設計や製造もサステナブルであることが求められる時代へ ちゃんと電気が通る回路がプリンターから出てきた驚き
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