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CONVERSATION株式会社図研管理本部 コーポレートマーケティング室主任齊藤 優里 2018年図研入社。前職はメーカー系SIerで事業推進、人事採用に従事。現職では、広報・IR担当としてメディア向け発信や株主向け事業報告に携わっている。またサステナビリティ推進プロジェクトメンバーとして、各施策の推進・管理を担当する。※5 IDEA  約4,700種類の農・林・水産物、工業製品等の日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質(CO₂をはじめ、NOx、SOx,PM2.5、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛などの化学物質の排出、鉄や銅などの資源消費)を定量できるデータベース。12に提供してもらえれば、サプライヤーの努力を我々の製品に反映させることができます。そのようなことが実現できれば、サプライヤーとより良好な関係を築くことができると考えています。 現在、PCBの排出原単位にはインベントリデータベース「IDEA」※5の値を使用しており、原単位の作成には国や業界団体が提供する統計データが使用されていますが、統計データは頻繁に更新されるわけではないため、業界の最新の状況を反映できていないことも課題です。技術の進歩により、ある半導体が再生素材で製造され、環境負荷がほぼゼロであるのが業界の実態だとしても、古いデータのままであれば、再生素材の効果を反映せずに計算するしかありません。PCBの重さ自体は複合機全体の10分の1もありませんが、GHG排出量は全体の10分の1程度を占めるなどボリュームはかなり大きいので、PCBの脱炭素化とその反映は重要です。羽田野氏 素材関連では、一部の化学メーカーで製品ごとに材料のCO₂排出量を開示し始めているところもあります。このような動きがPCBや電子部品にも広がっていけば、その情報をもとに製品を評価できますが、なかなかモジュール部品までは我々も踏み込めていません。しかし、全体に占める割合が大きく、CO₂排出量の変化に大きな関与が見込まれる電子部品やモジュール部品こそ、本当は着手しなければならない領域だと考えています。感じます。ESG要求に対応したことでグローバル商談を獲得するケースも増えてきています。新規の商談や入札だけではなく、既存の顧客からも契約更新時に、社会環境に責任を持たないサプライヤーには今後は支払いをしない、責任ある購買方針に同意しない場合には購入しないなどの要求事項が増えてきています。ESG対応は、QCDと同様にサプライヤー選定条件となりつつあると感じています。 国内ではいまのところそこまで強い要求はありませんが、我々の活動を知った企業からヒアリングやアドバイスの要望が年々増加しており、2021年だけでもリコーとリコージャパンで150件ほど対応しております。このような依頼は大手企業から中堅企業にまで拡大してきています。リコージャパンでは、2018年から「SDGsキーパーソン制度」を開始しており、全国の支社を含む各組織から営業パーソンを中心に約700名が登録し、SDGsやESGに関するご相談に対応しています。こうした活動が顧客との関係強化につながっており、各部門においてSDGsやESGを意識した顧客支援の動きが広がってきていると感じます。齊藤 サステナビリティは、企業が将来獲得しうる利益やビジネスチャンスと強く関係していくという意味で、まさに企業トップのリーダーシップがカギを握る「環境経営」の大きな共通テーマです。一方で、マネジメント、ESG部門と現場とのアライメントをどうつくっていくかという点に多くの企業が課題感を持っているのが現状だと思います。CEワーキングなどリコーの活動は、多くの企業にとって、非常に参考になるものだと感じました。今日はありがとうございました。環境経営はQCD同様サプライヤー選定条件となっていく齊藤 サステナビリティ活動の高まりに伴い、顧客からの要求も変化していると感じられますか。羽田野氏 グローバルでは、人権関連の法整備も進んでいることから、さまざまなESG要求の高まりを

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