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NOITASREVNOC株式会社リコーESG戦略部ESG推進室     ESGセンターRBグループ涼氏田中※4 Scope1~3 温室効果ガス排出量の算定 のためのScope。Scope1:自社における直接排出 Scope2:自社が購入・使用した電力、熱、蒸 Scope3:気などのエネルギー起源の間接排出製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出される温室効果ガスの量(サプライチェーン排出量)。電機メーカー、素材メーカーにて高分子材料の研究開発・用途開発に従事後、2022年リコー入社。グループ全体の環境負荷集計・分析、LCAの活用推進を担当。11 RICOH IM C6010削減目標などを設定します。その後の設計開発部門では、企画された要件を実現するために、機能とコストとをどう折り合いをつけるか、調達部門などと協働しながら詳細検討を進めます。そして、生産段階で工程数の削減や歩留り、稼働率の向上などに取り組み、販売・サービス段階では、回収やリサイクルなどにより環境負荷低減に取り組んでいます。 このように我々は、原料入手から製品が生産されて廃棄されるまで製品の「一生」の間に、どれだけ環境に負荷をかけるかを定量的に評価する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という考え方も取り入れ、環境負荷の低い製品づくりに取り組んでいます。開発したものもあります。独自開発のプラスチック素材からも排出原単位を作り、1kgの使用ごとのCO₂排出量をバージン材と比較しました。その結果、モノによっては従来の半分、または4分の1程度まで低減できる素材も見つかりました。それらの数字をきちんと集計し、製品全体のCO₂削減に繋げています。製品の小型軽量化や、輸送量や生産量の減少にも限界がありますので、一番効果があるのはやはり素材の低炭素化だと考えています。世界初! 再生プラスチック50%以上の複合機を開発CFP削減に向けて、新素材開発にも挑む羽田野氏 今年発表した、A3複合機の「RICOH IM C6010(写真参照)」は、世界初となる「再生プラスチック使用率50%以上」を達成し、前機種と比較してカーボンフットプリントを約27%削減しました。この時の開発においても、LCAの考え方でいかに環境性能の目標を達成できるか、部門協働で取り組みました。従来、品質への懸念、コスト高などから、複合機には再生プラスチックを使ってきませんでしたが、CO₂の削減に繋げていくためには再生プラスチックを使う必要があると判断しました。さらに、再生プラスチック使用率50%以上という高い目標を設定し、各部材の見直しや樹脂メーカーとの新材料の開発なども併行して進めました。再生プラスチック利用によるCO₂削減効果を定量的に評価する為、我々ESG推進室で再生プラスチックに使われている樹脂情報を基に、再生プラスチックにおける重量当たりのCO₂削減量(GHG排出量原単位)の算定も行いました。田中氏 我々が使用する再生プラスチックは、一般に出回っているものもあれば、樹脂メーカーと独自にプリント基板の環境性能、その重要性と難しさとは齊藤 小型製品の場合、全体のCFPに対してプリント基板(PCB)が占める割合が高まりますが、その環境負荷低減として、どのような取り組みをされていますか。羽田野氏 PCBに関しては、主にリユース・リサイクルに取り組んでいます。電源ボードなどとは異なりPCBには高価な部品が搭載されているため、部品を交換して再利用するなど、できるだけ長期で使う体制を整えています。一方で、PCBには多くの電子部品や半導体が載っているものの、個々の構成部品に関する情報が乏しくLCA評価がしづらい点が悩みどころです。我々も可能な限り低炭素な電子部品を調達して低炭素なPCBを設計し、CFP値を表示したいという思いがありますが、適正なCO₂排出量がつかめず、結果としてPCBの総重量ベースの概算で評価しているというのが現状です。田中氏 脱炭素に寄与する施策を行ったとしても、それを正しく評価できなければどうしようもありません。特にPCBは構成部品が複雑で、個々に環境性能を高める施策を行っても結果が反映されにくいという課題があります。サプライヤー側で構成部品や材料の使用量を把握し、CFPの値を計算した情報を我々

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