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CONVERSATION株式会社リコーESG戦略部ESG推進室    ESGセンター室長羽田野 洋充氏※2 4つの重要社会課題(マテリアリティ) ①地域社会の発展 ②責任のあるビジネスプロセスの構築 ③オープンイノベーションの強化 ④多様な人材活躍 の4項目。※3 RE100 「Renewable Energy 100%」の略称で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアティブ。1993年リコー入社。1999年よりリコーグループの環境経営推進に携わる。欧州駐在を経て2013年より環境規制規格や環境ラベルへの対応などに取り組み、現在、グローバルなESG外部評価、情報開示対応やLCA、スコープ3、人権対応などサプライチェーンにおけるESG推進を手掛けている。図1 循環型社会実現のための  コンセプト  「コメットサークルTM」10れており、この2つについては「リコーグループ環境目標」を新たに設定し、特に取り組みを強化しました。取り組みの一環として、再生可能エネルギー(以下、再エネ)活用の国際的なイニシアティブであるRE100※3にも、日本企業として初めて参加しています。 脱炭素分野では2050年にバリューチェーン全体でGHG(温室効果ガス)排出ゼロを目指しており、そのために2030年にはScope1、Scope2でGHGの63%削減、Scope3※4は40%削減を目標に掲げて取り組んでいます。これらの高い目標に対して社内からさまざまな意見があがりましたが、トップからの強いメッセージのもと実行に移され、現在は複数の部署が協働しながら、順調にCO₂排出量の削減や再エネ活用を進めています。やはり最初に高い目標を掲げ、皆で協調してその達成に向かうことが大事だと考えています。環境保全と利益創出の同時実現を意味する「環境経営」「環境保全」は継続的に実施してこそ効果がある羽田野氏 脱炭素社会に向けたリコーグループの取り組みは、1990年代に遡ります。創業者の市村清が掲げた「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という「三愛精神」に基づいて、社会全体が循環型社会に向かって変化していく必要があると考え、1994年に製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていくというコンセプトを表した「コメットサークル(図1)」を制定しました。 1998年には当時の社長・桜井正光が、環境保全と利益創出の同時実現を意味する「環境経営」という概念を世に先駆けて提唱し、それ以来「環境保全は継続的に実施してこそ効果がある」という信念のもと、20年以上にわたり活動を継続しています。2017年にはSDGsを社内に展開させるべく、事業を通じて取り組む4つの重要社会課題(マテリアリティ)※2と新たな環境目標を設定しました。その重要社会課題には「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」も含ま高い目標が部門間の連携を促し、 創意工夫を生む齊藤 脱炭素社会に向けた製品づくりには、どのように取り組まれているのでしょうか。羽田野氏 我々の主力製品はA3複合機ですが、すべての製品づくりにおいて、商品企画から販売・サービスまでライフサイクル全体で環境負荷を減らす取り組みをしています。 まず最初に、商品企画では数年先を見通し、どのような製品であれば市場競争力があるのか、環境面・機能面を含めて製品コンセプトの計画を立てます。当社では製品の小型軽量化や省エネ、再生材の使用などにより、CO₂をどれだけ削減するかを今後の開発機種に対して目標設定し、シミュレーションや検討を行うCE(サーキュラーエコノミー)ワーキングがあり、調達や設計など複数部門のメンバーが参加しています。このCEワーキングで協議して新規資源使用率やCO₂

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