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株式会社図研技術本部EL開発部シニア・パートナー松澤 浩彦 8は十分か、など実際のパターンを把握して考慮しなければならないため、大場先生たちとマージンの取り合いで日々、妥協点を探っています。大場氏 今までは平面をベースに設計していたのが3次元化するので、新たな禁止事項が浮上します。TSVの穴を掘ったら電源ラインや信号ラインにぶつかる、といったようなことは、3次元CADで表現するからこそ見落とさず発見することできます。今後、三次元実装のシステム構造や仕様のあるべき姿を定め、それに沿った設計時の禁止事項やルールを決めていく必要があります。我々の目的はあくまでも3D-ICを量産レベルに持っていくことなので、システム設計を全体的に俯瞰して、設計から製造までをカバーすることが求められます。そこが、製造だけを開発する従来の3D-ICプロジェクトとは決定的に違うところです。津田氏 本日お話を伺って、アライアンスの参画企業が共創することにより、不可能だと思われていた課題を克服し、市場の要求に適合した技術開発に成功されていることがよくわかりました。量産化も視野に入れた技術開発ができているのは、WOWアライアンスの産学連携の形態だからこそ成し得たのかもしれませんね。台湾における試作ラインの構築も、半導体関連のメーカーと共に動かれているので、実現も近そうですね。松澤 国内企業だけではなく、台湾やシリコンバレーの企業も参画していることで、市場ニーズと製造における実現性を照らし合わせながら、フレキシブルに軌道修正が図れるというところもこのアライアンスのメリットなのだと思います。図研の技術を半導体の設計分野に貢献できるよう、アライアンスメンバーの一員として今後も頑張ります。今日はありがとうございました。 実現性の検証に図研CADも貢献津田氏 WOWアライアンスの中で図研の役割はどうなっていますか?中條氏 今の半導体設計ツールは、2次元の半導体を前提として作られていますので、3次元の半導体に組み合わされた所がうまく表現できません。一方、プリント回路基板(PCB)のCADには、ビルドアップ基板のように1層ずつ積み重ねていくという機能があります。そこで、PCBのCADを開発している図研と共同で3次元実装の実現方法を検証したり、半導体上で3次元に積層した場合にツールはどうあるべきかなどの課題の洗い出しを進めています。どんな課題があり、何を超えないとゴールにたどり着かないのかを整理する作業です。松澤 要求仕様やパターンのバラつき、熱仕様などを求め、それにたどり着くためにはどのようにして計算するのかを図研で考えています。どういうかたちでWOWアライアンスに提供すれば良いのかという点についても検討しています。具体的には、TSVの寸法が他の配線を邪魔していないか、電源のTSVと信号TSVそれぞれのマージン

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