東京工業大学異種機能集積研究ユニットWOWアライアンス研究員中條徳男氏 16エネルギー消費(pJ/b)xPUCache/FabricDRAMControl LogicCapacitorInductorHeat SpreaderDRAMxPUCapacitor/InductorHeat Spreader図1 大容量データ転送を低電力で実現するBBCube※3 ムーアの法則インテル創業者のひとりであるゴードン・ムーアが、1965年に自らの論文上で唱えた「半導体の集積率は18か月で2倍になる」という半導体業界の経験則※4 エレクトロマイグレーション配線や電極の金属に大きな密度の電流を流すと、金属を構成するグレインと呼ばれる金属粒が移動して金属を欠損させ、最終的に断線させてしまう現象。かつてはIC上で起きていたが、金属をアルミから銅に変えたことでIC上では起こりにくくなっている性能を十分に引き出せません。アライアンスでは、汚染や欠陥の拡散を限りなく小さくする裏面研磨技術を開発しました。薄くするだけならシリコン厚さ1µmも実現していますが、DRAMなど汚染に最も敏感なデバイスの量産には5µmが最適と考えています。松澤 要求仕様の実現性の検討により、限界値の追求ができたわけですね。大場氏 薄く削ることで厚さは1/10になり、TSV電極ピッチはバンプがないので露光波長が短くなるとともにフットプリントを小さくできます。外から見ると従来のICと変わりはありませんが、中身の縦方向の集積度は極めて高くなります。つまりICパッケージの外から見れば集積度の向上を目指すムーアの法則※3が継続しているように見えます。 BBCube技術はバンプを使わずにチップを上下接続します。従来の3D-ICでは半田バンプを使って上下のチップの電極を接続させていますが、半田バンプは圧着すると横に膨らみ隣接するバンプと接触してしまいます。また、バンプの高さが低いと圧着できません。つまり、TSVの密度は半田バンプの出来具合で決まります。一番厄介なのは、高抵抗であるバンプ金属と圧着由来の新たな金属界面が形成される点です。配線の抵抗増加の原因になり、信号遅延や信頼性の低下を加速します(図2)。中條氏 私はBBCubeのプロジェクトの中で、アーキテクチャおよび電気特性の検討を行っています。現在の情報システムではメモリとプロセッサ間の伝送速度を上げることで、伝送容量の大容量化を進めています。これに対しBBCubeは、高密度なTSVを活用して並列度を上げ、逆に伝送速度は抑えます。具体的には現在市販の高並列メモリに対し、並列度は16倍、伝送速度は1/4の800Mbit/sになります。これにより4倍の伝送容量を小さな消費電力で実現できる見込みです。津田氏 従来のバンプを利用する方法ではエレクトロマイグレーション※4が起きるという問題がありますが、BBCubeではその問題を回避できますね。大場氏 実は以前からその問題は指摘されてきました。対策のため、設計上で電源パッドを増やし電源ライン1本あたりの電流密度を減らしてきました。エレクトロマイグレーションは、電極接続部の接触抵抗がどうしても高くなるため起きやすくなります。その点、BBCubeではバンプを使わずにCu同士を超並列で接触させているため、その問題は生じにくいと思います。台湾の成功大学と提携実装に向けての試作ライン構築津田氏 これからの問題として、導線の芯の部分は電流が流れにくく表面のみ電流が流れるという、表皮効果は出てこないのでしょうか。中條氏 表皮厚さは、銅の場合1GHzで約2μmです。BBCubeのTSVの直径は3μmなので、想定している伝送速度800Mbit/s( 周波数400MHz)では表皮Side-by-side DRAM and CPUSide-by-side CPU on DRAM3D9W出典:東京工業大学 WOWアライアンス※ バンド幅 特定時間内に一カ所から他所へ移動が可能なデータの量10010Assumptions:Capacity=16GBEight Dies usage0.110DDR5Total Power 10-12W100バンド幅(GB/s)※1,000HBM2HBM2E15WBBCube2.5D10,000BBCube 2.5DBBCube 3D
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