13 ヌヴォトン テクノロジージャパンの前身であるパナソニック セミコンダクターソリューションズは、パナソニックグループの半導体事業の中核を60年以上にわたって担ってきた企業である。パナソニック時代は、グループ企業が製造するテレビ、冷蔵庫、携帯電話などの家電製品向け半導体を主に提供していた。2020年、台湾を主拠点とするヌヴォトングループの一員になり、半導体専業企業としての再スタートをきった。 「ヌヴォトングループに参加して真っ先に感じたのは、ビジネススピードの速さです。グローバル市場で成功してきたスピードを実感し、当社の経営スピードを一気に加速させました。また、半導体業界に関係する情報がダイレクトに入ってくるようになったことは、とても新鮮な驚きでした」 台湾には国内に設計開発からファウンドリまで、半導体関連のさまざまな企業があり、各社ともビジネス領域がグローバルに広がっている。こうした企業をつなぐネットワークも充実していることから、グループ企業にも半導体に関連する世界中の動きが、いち早く、ストレートに伝わってくる。まさに、同社へ入ってくる情報の量と質が大きく変わったのだ。 「例えば、自動車業界の地域別半導体需要の動向もダイレクトに入ってくるので、業界トレンドがリアルに、いち早くつかめます。これは、とても大きなメリットだと感じました。こうして得られた情報によって取り組むべき戦略の確度を上げていくことで、戦略の実施判断がスピーディに行えるのです。ヌヴォトングループの一員となり、半導体専業企業としてビジネスを展開するために、とても有利なポジションを手にしたことを実感しました」 ヌヴォトン テクノロジージャパンに対し、ヌヴォトンの経営陣からは、『長年培った技術・強みを伸ばして確固たる事業を確立し、半導体専業企業として独り立ちしてほしい。そのために必要なことを全力でサポートする』という期待が寄せられている。 「この期待に応えるためには、保有技術とビジネスの連動性を高めることが必要です。そこで、開発・営業メンバーを含めた新たなマーケティング部門へと組織再編を行い、製品に特化したマーケティング活動の強化を重要なミッションとして実行しました」 ヌヴォトンには、『Hidden Champion』(隠れたチャンピオン)という理念がある。小規模であっても、特定市場をリードする高いシェアを獲得しようというものだ。ヌヴォトン テクノロジージャパンがグループから期待されている『強みを伸ばして確固たる事業を確立する』という発想の根底にあるのが、この理念だ。 「ヌヴォトングループに参加したとき、改めてフォーカスすべき市場の再定義に取り組みました。具体的には、気候変動や資源枯渇といった2030年問題からメガトレンドを見極め、当社の技術や強みが発揮できる成長市場の検討を行いました。 そして、フォーカスする市場を、“ニューエナジー”、“スマートモビリティ/ロボティクス”、“スマートライフ”の3つに絞り込み、当社の培ってきた技術と知見を組み合わせて、お客様のニーズに対してどのような貢献ができるかを問い直し、3つの市場に適合した製品開発を進めるため、事業組織を再編しました」 その後、同社ではスマートフォン電池の回路用スイッチを扱う《コンポーネント》、バッテリーモニタリングICとモータードライバーICを主力製品とする《バッテリー・アナログソリューション》、イメージセンサーやDSPを展開する《ビジュアルセンシング》のほか、マイコンや高速IFを手掛ける《IoT with セキュリティ》と産業用機器に向けた《半導体レーザー&GaN 》という5つのビジネスグループ(BG)に再編して事業を展開。この5BGでHidden Championになるために推進されているのが、マーケットインの発想だ。グローバル市場で成功するためのスピード感とそれに対応できる組織体制を確立『Hidden Champion』フォーカスすると決めた市場に固執する!
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