「流用だから大丈夫」そう思い込んでいませんか。
流用設計に甘えてチェックを怠っていた入社3年目の回路設計者の新田さん(仮名)は、極性逆付や定格不足などの凡ミスで大慌て。どれも電気特性を理解していれば簡単なことなのにどうして?


車載機器メーカーN社では、設計期間短縮とコスト削減を行うため流用設計が主流になってきました。年間のリリース製品数が10年前と比べ3倍に増え、エンジニア一人あたりの担当製品も増えています。もちろん、若手エンジニアたちにも積極的に製品担当を任せ、製品版の設計を行っています。

新田さん(入社3年目)もその一人。半年前から、車載オーディオ機器の設計を任されているのですが、何やら、これから大変なことが起こる予感・・・

 

「流用だから大丈夫」が招く設計の凡ミス

上司:新田くん、こないだ試作に回した機種なんだけどコンデンサが破裂して回路が燃えたって連絡があった。ちゃんとチェックしたの?

新田:はい、DRCもERCも、ディレーティングも確認しました。

上司:部品の極性チェックは全部やったのか?

新田:いえ。過去機種からの流用回路があったので全項目は行っていません。チェック日数も少なかったので…うーん、問題は回路をつなぎ直したところだったのかな‥

 

新田さんの設計した回路が、試作時に燃えてしまったようです。部品の極性を全項目チェックしていなかったみたいですね。最近の回路設計では、「流用だから大丈夫」「忙しくてチェックする時間がない」とチェックを怠るケースが多いようです。これは若手エンジニアに限った話ではありません。ベテランエンジニアでも、担当製品の開発期限が迫っている、過去に使用した回路だから性能は問題ない。と考えていれば簡単に同じ問題が起こってしまいます。

 

上司:チェックを怠ったことも悪いが、設計してて気づかなかったのか?コンデンサの逆付だけなんだぞ!

新田:・・・すいません

 

回路図

 

そこに、新田さんの先輩であるベテラン設計者の古川さんがやってきて・・・

古川:この数のコンデンサじゃ、見落としもあるでしょうね。まして過去回路からの流用ならなおさらだ。何回か設計してる人なら、これまでの経験があるから勘で危なさそうなところを見つけられるけど、数をこなさなきゃアタリはつけられませんよ。

上司:オレがかけだし回路設計者の頃は、電解コンデンサの向きの目視チェックなんて当たりまえだったんだがな・・・

 

過去回路の流用を始めてから、このような回路設計でのちょっとしたミスが頻繁に起きていると聞きます。流用設計は、設計効率やコスト削減に対して効果が高い手法の一つですが、ただ単に過去回路を流用すればよい。と考えていてはミスを引き起こしてしまうのです。よくあるちょっとしたミスを5つご紹介します。

 

回路設計あるあるミスTOP5

 

DRC/ERCだけじゃ足りない。電気の特性も理解して

古川:回路設計CADにチェック機能(CircuitAdviser)があるだろう。ちゃんと使っているのか?

新田:前に使おうとはしたんですが‥ネットに電圧を設定しないと使用できない項目が多いみたいで。それが面倒で使っていません・・・

古川:ああそうか。それはネット電圧値計算アドインを使えば何とかなるんじゃないかな。SPICEを使ってネットに電圧値を自動設定するんだが、ICなんかはモデルがなくても電源電圧に合わせた出力を出してくれるし、最近ではLTspiceにも対応しているらしいぞ。

新田:そうなんですか?それなら楽にできるかも・・

古川:Circuit Adviserのチェック機能はDRC/ERCで見つけられなかった電気特有のエラーをみつけてくれるんだ。今回のような接続間違いや部品の定格なども自動チェックしてもらえるぞ。

 

サーキットアドバイザのチェック機能

 

今回のような部品逆付けの場合は、CircuitAdviserの「対電源極性チェック」を実行することで接続間違いを検出できます。チェック実行のために、部品情報にチェックに必要な情報を入力します。
CircuitAdviserには、電気特性をチェックできる項目が14項目用意されています。それぞれ、DRC/ERCでは確認できない電気特有の定数や定格などを考慮しています。電気回路の特性など細かな知識が少ない設計者や、設計期間の短さに焦りチェックを怠ったゆえに起きるちょっとした設計ミスの防止に役立ちます。

 

流用回路だからこそチェックが大事

Circuit Adviserを使うようになってから、新田さんが見違えるようにイキイキとしています。以前はチェック項目をただチェックするだけだったのですが、電気特性の中身をきちんと理解して過去回路を流用しているため、電気特性までしっかり把握できているようです。

 

上司:最近はミスも減ってうまく行っているようじゃないか

新田:はい!Circuit Adviserを使うようになってから、コンデンサの逆付けはすぐ見つかるようになりました。流用回路だからこそ、こういうチェックって必要なんですね。ディレーティングも全項目やっていますよ

上司:ほう。頼もしくなったもんだ

新田:最近では、多電源ICの出力電圧の設定や入力端子電圧チェックも使いこなしていますよ!

上司:そこまでできるのか。俺が若い頃は何日もかけて苦労して目視チェックしてたんだがな・・・

古川:昔とは回路規模も開発スピードだって違いますからね。若い奴らも大変ですよ。ここで楽してても確実にミスが減って、効率よく品質高くなるならいいじゃないですか

新田:使っていて、回路の勉強はもっとしなくちゃと思いましたけどね・・・

 

 

まちがい探しチャレンジ

回路設計あるあるミスのミニクイズを用意しました。
よくあるちょっとした間違いが3つあります。みなさん見つけられますか?

 

回路設計あるあるミスのミニクイズ

 

正解は、here