近年のClub-Zで一番の大好評連載といえば、「基礎講座『おしえて電源IC』」。未だにアクセスが絶えない本連載を2年半にわたって担当してくださったリコー電子デバイス様から、「実はLeafonyもやっていまして、今度当社のオリジナルリーフが出るんですよ」と教えていただいたのが今春。そしていよいよこの度、そのリーフ2種の販売が開始されたということで、編集局がオンライン取材を敢行。オリジナリティあふれる同社リーフについて、ご紹介します。

 

編集局:Club-Zでまた御社と関わることができてうれしいです。では早速ですが、今回ご回答いただく担当者様のプロフィールからよろしいでしょうか。

奥村様:はい、講師S…ではなく、Club-Zでは初登場となります、リコー電子デバイス株式会社 設計センター 事業推進課の奥村と申します。よろしくお願いします。

 

写真.今回取材にご対応いただいた、リコー電子デバイス 奥村様

写真.今回取材にご対応いただいた、リコー電子デバイス 奥村様

 

編集局:こちらこそよろしくお願いします。奥村さんは普段、どのような業務を担当されているんでしょうか?

奥村様:自社製品評価用アプリケーションや、自社製品組込み環境のサンプルF/Wなどの開発をしています。アナログ/デジタル設計者と連携しての業務になりますね。

編集局:おっと、今回も手練れがアサインされたようですね(笑)。では最初に、御社がトリリオン・ノード研究会に入り、Leafony製作に取り組むようになった背景から伺います。

奥村様:そうですね、研究会加入の背景としては、次の2点になります。まず、弊社の得意分野であるパワーマネジメントICを、IoT市場で活かせるのではないかという考え。そして次に、研究会での意見交換によって、さまざまな気づきを自社製品開発にフィードバックできるのではないかという考えからです。

編集局:なるほど。ちなみに、社内でのLeafonyプロジェクトの位置づけというのはどのようなものでしょうか?

奥村様:はい。私の所属する事業推進課では従来、自社ICを使った場合の優位性をお客様にシステムレベルでご提案できるセット(H/WとS/W)の開発を行っています。それで今回、自社製電源ICを搭載したリーフを開発、販売することで、「リコー電子デバイス」を広く認知していただきたいとの想いで取り組んだ次第です。なので、収益性は第一義とは考えていません。

編集局:そうなんですね。では、そんな熱い想いでこの度完成させた2種類のリーフについて、まずは概説していただけますでしょうか。

 

2種類のリーフの外観写真

図1.2種類のリーフの外観写真(上段=表、下段=裏)
左:REDC-EH01、右:REDC-FG02

 

奥村様:それでは最初にこちら、太陽電池電源リーフの「REDC-EH01」からご紹介しましょう。ご存じのように、弊社の得意分野は電源ICでして、それを応用したリーフを開発するのがもっともアピールになるだろうとの考えから、エナジーハーベスト用低消費電流降圧DC/DCコンバータのR1800Kを「Leafonyによる低消費電力IoT機器の電源にしてみよう」ということになりました。

編集局:エナジーハーベストというのは、我々の周りの環境に存在する希薄なエネルギーを「収穫」して電力にする技術のことですよね?

奥村様:その通りです。光とか熱、振動などを電力に変換します。「環境発電技術」とも呼びますね。さて、そして次ですが、Leafony元来の「エッジデバイス向け」というコンセプトからして、やはりバッテリーマネジメントや低消費技術といったところがリーフと親和性が高いのではないかなと。それがこちらの高精度残量計付き電池リーフ「REDC-FG02」です。

編集局: 2つとも、個性的な電源というわけですね。

奥村様:はい。やはり、標準キット(Basic Kit)にはない「尖った」アイテムを目指したい、という想いがありました。

 
enegy_hervest_leaf_usage_scene

図2.エナジーハーベストリーフの利用シーン

 

編集局:それぞれ、特長や想定されている利用シーンなどを教えていただけますか?

奥村様:はい。まず「REDC-EH01」ですが、太陽電池パネルを接続することで、屋内光だけで各リーフへ3.3Vの電源供給が可能となっています。最大電力点制御機能によって電力供給を最適化しますし、電池電圧モニタ機能によって長期間安定動作します。利用シーンとしては、屋内環境でのIoT用途、電池交換なしでの長期間運用、そして無電源環境でのセンサーリーフによるデータ取得用途などを想定しています。

編集局:なるほど、一方のこちらは…。

奥村様:「REDC-FG02」は、3.3Vと5.0Vの2系統の電源供給が可能で、5.0Vの方はマイコンからのスタンバイ設定ができます。リチウムイオン電池に接続できて、電流・電圧をモニタすることで電池残量を0.5%単位で取得可能。またリチウムイオン電池へのUSB充電が可能です。電池保護機能も付いています。5.0V電源供給が必要なシステムや、大容量のリチウムイオンが活かせる高負荷なシステムなど向け。また、温度変化による電圧変動が大きく、他のリーフが使用している電圧モニタでは電池残量測定が難しい環境であったり、電池残量を高精度で測定したいシステムであったりといった利用シーンを想定しています。

編集局:そういえば、今年始めのトリリオン・ノード研究会で発表されていた「トイレセンサ」も、電源環境が過酷な条件でしたよね?

奥村様:はい。あのシステムで使っていたのがまさに「REDC-EH01」です。他にAVR MCUリーフ(AP01)、BLE Sugarリーフ(AC02)、29pinリーフ(AX02)が使われていて、太陽電池電源リーフと屋内光用太陽電池パネルでトイレセンサの電源を構成しています。太陽電池パネルで発電された電力は太陽電池電源リーフを介して各リーフへ供給されて、余剰となった電力は太陽電池電源リーフに搭載された二次電池に蓄電されます。
トイレの扉の開閉を検知するためには磁気スイッチを使っていて、扉の開閉は、29pinリーフを介してMCUリーフへ割り込み信号として接続しています。トイレセンサは、扉の開閉を検知すると扉の状態と二次電池の電圧をBLEのAdvertisingで送信しています。送信された情報はゲートウェイで受信し、ゲートウェイよりサーバPCにサブGHz帯の無線モジュールを用いて送信します。サーバは、受信した情報を基に利用者に対してトイレの空き情報をWeb配信するようにしています。

 

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図3.トイレセンサリーフのシステム構成

 

    トイレセンサが設置されたトイレは、使用者がいないときは照明が消灯するという省エネ設計になっているので、夜間や休日などは屋内光用太陽電池パネルからの発電は期待できません。メンテナンスフリーで考えた場合、電力バジェットの観点では厳しい環境ではあったんですが、太陽電池電源リーフで使用しているDC/DCコンバータが高効率の電力変換で、かつ自己消費電力が非常に少ない設計となっていて、室内光のみで3.3Vを常に給電でき、「メンテナンスフリーのトイレセンサ」を実現させることができました。

編集局:こんな身近(トイレ)に、低消費電力がフィーチャーされる環境があったんですねぇ。

奥村様:そこですか! 思わず突っ込んじゃいますが。

編集局:すみません…。さて、この2種類のリーフですが、せっかくですのでどこで入手できるかご紹介ください。

奥村様:はい。現状はチップワンストップでご購入いただけます。もちろん、Basic Kitの方もそちらで買えますので、ぜひ併せて入手していただければ。また、データシートおよび技術関連資料がダウンロードできるページへのリンクもご紹介しておきますね。

 
  ⇒ 太陽電池電源リーフ「REDC-EH01」
  ⇒ 高精度残量計付き電池リーフ「REDC-FG02」
  ⇒ Basic Kit

 

編集局:ありがとうございます。ちなみに、御社として第二弾以降どういうリーフを手掛けていく予定があるか、教えていただけますか?

奥村様:はい。今回ご紹介したものとは別の、低電圧で駆動する電源リーフを考えています。今回の「メンテンナンスフリーのトイレセンサ」では、消費電力の観点から58.1×48.6mmの太陽電池パネルを使用しましたが、今後はもっと小さい太陽電池で駆動させたいと考えています。そのためには、さらなる低消費化へのアプローチが必要です。リーフを3.3Vよりも低電圧で駆動できないか、低電圧動作に特化したリーフが作れないかを、鋭意検討しています。

編集局:わかりました。最後に、Leafonyに限らず御社の取り組みについて教えてください。

奥村様:リコー電子デバイス株式会社では、IoT向け電源製品を多数ご提供しています。お客様が自立発電・電池の長寿命化・高精度を実現したメンテナンスフリーのIoTエッジ端末開発を検討される際に、弊社の電源製品が、その開発の容易化や工期短縮などに貢献できれば大変嬉しく思います。ぜひ、今後のリコー電子デバイス製各種電源製品にご期待ください。

編集局:どんな特長を持った製品が発表されるのか楽しみですね。ぜひ、今度また紹介させてください。本日はありがとうございました。

 
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