今月より、誰もが簡単にアイデアを形にできるIoTプラットフォームとして注目を集める「トリリオンノード・エンジン」をテーマにした新連載が始まります。
トリリオンノード・エンジンについては、2016年の Zuken Innovation Worldにて東京大学の桜井貴康名誉教授より「IoTのオープンイノベーション・プラットフォーム」としてご紹介いただいています。同年、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業として「トリリオンノード・エンジン」プロジェクトが発足され、これまで産学連携で研究開発が進められてきました。図研もこのプロジェクトに参画しています。
先日8月30日に開催されたトリリオンノード研究会では、トリリオンノード・エンジンが「Leafonyプラットフォーム」として2019年9月に一般公開されることが発表され、プロジェクト参加企業からの活用事例が紹介されました。
本連載では、このプラットフォームで何が実現できるのか、どんな製品に活かされるのか、先行して開発や事業化に取り組む企業や活用事例を取り上げていく予定です。
初回は、トリリオンノード研究会の様子と Leafonyプラットフォームの概要についてご紹介します。

 

トリリオンノード・エンジンとは

超小型、電池動作可能、組み立てが簡単という特徴をすべて併せ持ったオープンソース・ハードウェアのオープンイノベーション・プラットフォームです。
リーフ(Leaf)と呼ばれる2cm角程度の電子モジュールにセンサ、通信、マイコン、電池などの機能を組み込み、オリジナルのシステムを自由に創ることができます。
これまでNEDOの委託事業として「トリリオンノード・エンジン」プロジェクトで研究開発が進められてきましたが、仕様が固まったものが「Leafonyプラットフォーム」として一般公開されることとなりました。
トリリオンノード研究会 Webサイト: https:trillion-node.org

 

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図1.トリリオンノード・エンジン(公開名称:Leafonyプラットフォーム)

 

トリリオンノード・エンジンの概況(東京大学 桜井名誉教授の発表より)

・Leafonyプラットフォームについて

トリリオンノード・エンジンの一般公開にあたり、楽器の出す音色が調和して素晴らしい楽曲を奏でるように各モジュールの Leafが集まって素晴らしい価値を創造して欲しいという願いが込められ「Leaf + Symphony」から Leafony(リーフォニー)と名付けられました。
この Leafonyはオープンなプラットフォームとして、新規開発ソフトウェアは MITライセンスで自由に使える形で公開され、商用利用でも無償で使えるようになっています。

 

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図2.東京大学 桜井貴康名誉教授

 

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図3.Leafony Basic Kit(今後、Leafony Systems社より発売される予定)

 

今回のトリリオンノード研究会では、トライアル用の Basic kitA1.0が特別に配布され、参加企業は実際に会場でコインバッテリーを装着し、スマホアプリと連動させて動作を試すことができました。

 
・Leafonyデモ:シャツの襟に埋め込んだリーフで、首の温度を測定

桜井名誉教授のシャツの襟に埋め込んだリーフで、首まわりの温度を測定し、クラウド経由でPC画面に時刻毎の温度を表示するというデモが披露されました。
非常に暑い夏を想定して、桜井名誉教授が襟部分をドライヤーで熱すると、リーフの温度センサが反応し、PC画面上の表示温度が上昇する様子を見ることができました。

 

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図4.桜井名誉教授によるデモの様子

 

Leafonyプラットフォームは、このようなウェアラブル製品としての活用など、IoT/CPS(Cyber-Physical System)のシステム検討・試作に最適なプラットフォームになっています。新しいシステムを安価に試作できるので、メイカーズなどの個人でも様々なアプリを作り出し、アイデアをすぐに形にできるプラットフォームとして今後ますます活用が広がることが期待されています。

 

図研の取り組み

図研は、2030年代のIoT端末が1兆個(トリリオン)になる時代を見据え、トリリオンノード・エンジンの研究開発に参画しています。そして、トリリオンノードによって実現される斬新なアイデアや優れた技術・サービスの実用化に向けて、CADの領域で支援していきたいと考えています。トリリオンノード・エンジンの回路図やパターン図は図研のCADのフォーマットで公開される予定です。
今回の研究会では、現在株式会社FUJI様と共同で進めているFUJI製の3Dプリンター「FPM-Trinity」でリーフの試作・検証する取り組みについて、同社富永様より紹介していただきました。
図研のCR-8000で設計した回路図や基板データを取り込み、FPM-Trinity上で樹脂形成、回路形成、部品実装まで行うことができるため、短期間でリーフ製造・検証を実現できます。そして、トリリオンノード・プラットフォームの狙いである「短期間 PoC(Proof of Concept=概念実証)」をより効果的にする製造手段であると発表されました。

 

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図5. FUJI富永様 発表の様子

 

懇親会の様子

研究会参加者の多くが残って懇親会に参加されており、企業同士の情報交換などで大いに盛り上がりました。また、懇親会の一角では、トリリオンノード・エンジンを使ったデモが行われており、人が絶えないほどの注目を集めていました。

 

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図6. 大盛況だった懇親会

 

一般公開により遂に製品化や事業化が本格化するLeafonyプラットフォーム。
次の第2回記事では、Leafonyプラットフォームの活用事例として、先行して取り組む企業をご紹介する予定です。乞うご期待!


おまけ:電気回路に疎い Club-Zスタッフも分解・組み立てができました!

本記事を書くために Basic kitの写真を撮ろうと、研究会参加メンバーからkitを受け取った私は、最初から図7のように配布されていたとは知らずに、「配布時点」を再現しようとリーフを1枚ずつ外して分解してみたのです。が、バラしてしまった後に、元々組み上がった形で配布されていたことを知り、大慌て(汗)。何も考えずに分解してしまったもので、組み立て方法がわかりません。接続を間違えると動作しないし、特別配布された貴重な kitを壊してしまったかもしれない(編集局で弁償か…汗)。うぬぬ、なんとか修復しなければと思い、研究会のWebサイトから図解を見つけ出し、それに倣って組み立ててみることに。図中のリーフ番号と実際にリーフに入っている番号とを照合しながら、順に1枚ずつ積み上げ、最後にネジを締め、恐る恐る付属のコイン電池を装着。すると、稼働を示すLEDランプが点滅! よし、やったぞーと安堵。こんな経験を通してですが(笑)、Leafonyが素人でも簡単に組み立て・分解ができることを実感したのでした。なお、写真がほしくてバラバラにしたというのに、元に戻せるか必死だったので、撮り忘れてしまいました…。

 

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図7:配布時のBasic Kit、まさか最初からこの形とは…

 

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図8:無事に完成した Leafony

 
(続き)Leafonyの組み立てに成功したので、せっかくなのでiPhoneアプリとの接続にも挑戦。
WEB上の説明に倣って、専用アプリ上から指定のWEBサイトにアクセスし、LeafonyのスイッチをON。するとBluetoothで通信し、Leafony上のセンサの値を拾ってアプリ側で表示。Leafonyを手で覆うと照度が下がったり、動かすと傾きが変わったり、手で持つと体温に反応して温度変化したりと、まさにこれがIoT!!
こんな簡単な組み立てと操作で、装置のセンサを稼働させアプリと連携する様子が見れるのは面白い!!
ここからどんなサービスが生まれるのか今後が楽しみですね。

 

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図9:iPhoneアプリと連携している様子
(温度、湿度、照度、傾き、電圧などを表示)