安全とは、「許容可能なレベルにリスクが下がった状態」と定義されている。
私たち日本人の感覚では、「安全」とは「完全無欠の安寧の状態」をイメージするが、筆者の知る限り、その感性は日本人だけである。ISO、IECなどの国際規格は、安全とは「許容できるレベルにリスクが下がった状態」と定義している。
つまりリスクの定義の後に、副次的に定義されるものが安全であり、安全を語るためには、「どのレベルが許容できるのか」を関係者一同で合意を得てからリスク分析をする必要がある。無限にリスクを下げようとすると、対策に莫大なコストがかかる場合があるからである。許容できるレベルはメリットとの相関関係で決まる場合もある。私たち日本人といえども、それは理解できるし、日常生活では誰もがその妥協点を探ってから行動する。したがって、許容可能なリスクのレベルを定義してからでなければ、リスクアセスメントは始められない。