何ら安全対策を打たない場合のリスクが、最も高いリスクだといえる。
もし筆者が、硬式野球のキャッチボールしている2人の間を、黙って、ヘルメットもかぶらずに走り抜けようとすれば、当然頭に当たって怪我をする。最悪のケースは筆者が死亡することであろう。
少なくともこの事故で、人類が滅亡することはない。最大最悪のケースを想定することがリスク分析のスタートとなる。この最悪の状況および事故の起こりやすさに対して、「ヘルメットをかぶる」「声を出してから通る」「ボールの軌道を見ながら避ける」などの対策をとれば、事故にあって死亡する「リスク」は減少してゆく。ただし「多少の怪我」を、「まれな場合に」するリスクは残るだろう。
どのような対策をしたところで、硬式野球ボールでキャッチボールしている、という事象と、その間を通り抜ける以上、リスクは0にはなりえない。このように、対策を施しても残ってしまうリスクを残存リスクという。