あらゆる物理的な構造物は故障する。製造上の問題か、物性の化学変化なのか、環境の腐食性ガスが原因か、熱や振動が加わったことが原因かもしれない。いずれにせよ必ず壊れる。あるときに1,000個の同じ部品があって、そのうち10個が故障している場合、その故障率を0.01だと表現する。これが1年で10個壊れる部品もあれば、10年で10個が壊れる部品もある。前者の方が壊れやすい、後者の方が壊れにくいといえる。機能安全にでてくる電子部品故障率は、1時間あたりに換算した場合の故障率を使う。ものすごく小さな割合のため、1,000,000,000(109:10の9乗)分の1を単位にしたFITという単位を用いる。機能安全でPFDを計算するためには、安全関連システム内部の電子部品の全故障率(FIT)が必要になる。規格では、実際に統計的に調べる方法も可能とあるが現実的ではない。このため、国際規格IEC TR 62830や、シーメンス社の社内標準 SN29500など国際的に公知になっているデータハンドブックに記載されている数値を使用するのが一般的である。なおIEC-62061 Annex Dに故障率や故障モードの発生割合の記載があったが、現在の最新バージョンでは削除されている。