《 ZIW2016 講演レポート 》─ アイコム様による講演内容のご紹介 ─
近年、無線機器も高機能化、軽薄短小化が進み、それに伴って設計する基板も多層・高密度化が進んでいます。また、コストを抑えつつ製品の短納期化も求められています。アイコム様は、これらの課題を解決するには対話設計では限界と感じ、設計の自動化を目指すためにDesign Forceと自動配線DRAGON EXを導入されました。導入によって、設計効率化や工数削減などの得られた効果や、実際の設計現場で行われている自動配線の活用事例をご紹介いただきました。


ご講演の要旨
●設計効率化に対する自動配線DRAGON EXのポテンシャルは高い
●特に部分的な自動配線機能を活用することが有用
●自動配線の品質を上げるには、部品配置も重要なポイントの一つ
●自動配線を実行した後の対話による配線修正をどこまで行うか、その判断基準を持って運用することが重要

 
 

アイコム株式会社様のご紹介

アイコム株式会社様は、1954年に「井上電気製作所」として創業。大手の無線機器製造メーカーとして、無線通信技術を基盤とした各種無線通信機器、無線LAN技術を利用したネットワーク機器などの開発・製造・販売を行っています。無線機器に関しては、陸上用、海上用、航空機用、IP 無線機など幅広く手掛けています。また、国内のみで生産を行い、製造品質を高く保っています。

 
 
 

基板設計も自動化を目指す時代

アイコム株式会社 設計管理部 システム推進課 課長 小山様

アイコム株式会社
設計管理部 システム推進課
課長 小山様

自動運転など自動化が困難と思われていた分野でも自動化が進み、基板設計でも本格的に自動化を取り入れて、効率化を図っていく時代になってきています。無線機器の高度化にともない、基板設計の課題も高度になってきています。これまでの対話による配線作業では、以下のような問題がありました。

対話配線の問題点

・基板設計期間短縮の限界
・FPGA等のBGA、多ピン化による膨大な配線ピンペア数
・基板レイアウト設計の平滑化
 

これらの問題を打破するために、Design ForceとDRAGON EXを導入することにしました。一番導入の決め手となったポイントは、「基板全体、部分を問わず自動配線を容易に実行できる」という点です。

 
 
 
 

設計効率化を追求した配線戦略

DRAGON(自動配線)で困ったところ

DRAGON EXを実際に使い始めたところ、以下のような課題がみつかったため、自動配線コンフィグレーション、配線戦略設定のチューニングを図研に依頼しました。

 
 
 

自動配線のコンフィグレーション

コンフィグレーション条件は、①BGAからの引き出しを含め、配線率100%になること。②複数の設計者が似たような配線をする箇所は、同じような結果になることとしました。

 
 

最適化された配線戦略では、まず2種類の基板(6層2段ビルドアップ基板、4層1段ビルドアップ基板)で検証を実施。結果は、基板Aで配線率99.91%、基板Bで配線率99.72%。ともに100%にはなりませんでしたが、最適化前より配線率が2%程度アップし、まずまずの結果が得られました。

最適化前より実行するパスが増えたため、自動配線の実行時間は約3倍程度長くなりましたが、結線率がアップしているおかげで自動配線後の未結線処理が格段に楽になりました。

 

自動配線のコンフィグレーション

 

なお、配線品質については配線アリゴリズムの問題であり、配線戦略設定では変わらないため、最終的な配線の引き回しなどは、設計者の判断が必要です。

 
 
 

細かい設計条件に合わせた自動配線

DRAGON EXでは、基板全体、またはある任意の領域を指定して自動配線を実行することができます。
たとえば、ある領域だけを指定し、基板全体の配線戦略とは異なる配線戦略を実行したい場合に、配線作業の効率を改善することができます。単層配線では、対話配線で行ったかのような結果を得ることができます。ただし、その結果を得るには部品配置を工夫する必要があります。

DRAGON EX活用のポイント

 

部分的な自動配線を利用して、BGA部品の引き出しにかかる設計業務を効率化することもできます。コンストレイントブラウザと共に活用し、マンハッタン長比で引き回しを確認することも可能です。

DRAGON EX活用のポイント

自動配線を活用するためには、自動配線機能に完璧を求めないことが重要です。自動配線後は、ある程度の対話での配線修正が必要になることを理解しておく必要があります。

 
 
 

自動配線の効果は、設計者による見極めが重要

運用効果

自動配線を運用した場合、0~70%の効果が確認できました。70%の効果が確認できたものは、自動配線後の配線修正がほとんど発生していません。0%のものは、逆に配線品質が悪く、手動配線によって手直しが必要となりました。つまり、現状では必要に応じて、自動配線後に何らかの対話修正が必要であり、この対話修正をどこまで行う必要があるかによって自動配線の効果が変化します。この対話修正をどこまで行うか、その判断基準を定義することで、自動配線をより有効活用できると考えています。

 
 
 

図研への要望

最後に、図研への期待・要望をまとめます

レイアウトとDRAGONのルールを統一

レイアウト画面で可能なことがDRAGONではできないものがあるので、思ったような配線結果とはならないことがある。

配線品質のさらなる向上

自動配線は、基板設計効率化にとって高いポテンシャルを持っているため、引き続き自動配線のアルゴリズムを進化させてほしい。

ベストな配線品質を引き出す部品配置ツール

自動配線の品質向上には、部品配置が重要になるため、部品配置を支援するツールの開発には取り組んでほしい。

 

ご静聴ありがとうございました。