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共通要因故障
(Common Cause Failure)と
FTA(Fault Tree Analysis)





  • 共通要因故障がどのように扱われるのか、ということに関して、米国原子力規制委員会のNUREG/CR-5485「Guidelines on Modeling Common-Cause Failures in Probabilistic Risk Assessment」で触れられています。

  • もしもAの事象とBの事象が完全に独立ならば、同時発生確率Pは、
  • P(A&B)=P(A)&P(B)
  • であるはずです。

  • しかしA,Bに何らかの依存関係があって独立ではない場合、事象Aが起こると、どういうわけか事象Bも起こりやすい場合があります。このような共倒れの要素があると、その同時発生確率Pは、
  • P(A&B)≠P(A)&P(B)
  • となります。

  • このような「なにか、A、Bに共通の要因があるな」、という場合、その要因を明らかにすることが、共通要因故障の洗い出しということになります。

  • このとき、そもそも事象Aに働いた要因を「Root Cause(根本原因)」と呼び、それが事象Bまで働いてしまった場合の依存因子を、「Coupling Factor(結合因子)」と呼びます。

  • たとえば、A氏、B氏共に健康だとします。
  • ある別な人からもらったお菓子を食べました。お菓子が傷んでいて、A氏もB氏も共にダウンしました。
  • この場合Root Causeはお菓子ですし、Coupling Factorは、「A氏、B氏が同じお菓子を食べること」ということになります。

  • 違う例を紹介します。同じ部屋で生活しているA氏とB氏が居るとします。
  • A氏がカゼをひきました。ゲホゲホゲホ。このカゼがB氏にうつってしまいました。
  • この場合のRoot Causeは「A氏の発病」ですし、Coupling Factorは、「同じ部屋に暮らしていること」になります。

  • このように、Common Cause Failureは、(Root Cause)×(Coupling Factor)で考えることが出来ます。FTA的に言えば、Top Eventに至るかどうかは、この両方がそろうかどうか、ということになります。FTAを行う際、このような観点で障害を解析することは、Common Cause Failureを見つけるのに役立ちます。また逆に言えば、Common Cause Failureを回避するためには、Root Causeをなくすか、対になるCoupling Factorをなくすか、どちらかの対応をとればよい事になります。

  • Common Cause Failureは、共通部品や共通のライブラリなど「共通な部位」に目が行きます。つまり前述のたとえで言えば、前者のケースです。勿論それも大切ですが、後者のケースのように共通の部位が故障したわけではないケースも大切です。

  • ある回路Aのトランジスタが故障した。それが電源を引き込んだ、その電源が別な回路Bに供給されていたため、Bも結果的に電源喪失で停止した。このようなケースは、後者の例に当たります。Common Cause FailureをFTAのような手法で分析するのは、このように複数の事象の組合せで発生するものである、と考えることが出来るからです。