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エヴァンゲリオンの三重化計算機
「MAGI」





  • そもそもこのような重要な判断を依存する計算機が三重化でよかったのか、という疑問があります。

  • アニメの中では敵の攻撃は1台のメンテナンスの完了直後になっています。今回のお話に登場した「定期検査時間(T)」の通り、システムにはλ DU が必ずありますから、当然定期的に検査しなくてはなりません。その間はダウンしています。

  • この場合せっかくの三重化システムですが、1台の定期検査中は二重化になっています。二重化というのは結構微妙な状態です。もしも2台の計算結果が異なっていた場合、多数決としてどちらを採用するのか悩ましいからです。2台の不一致ということは、どちらかがおかしな答えを出しているのですが、さてそれはどちらか?

  • このようなことを想定すると、メンテナンス中を考慮し、4台構成の多数決が良いように思えます。1台がメンテナンス中でも3者による多数決が継続できるからです。しかし、4台では、2対2になった場合どうするのか?という問題が残ります。すると5重化による多数決でしょうか。

  • 劇中では別な基地にバックアップ用のもう1セットの三重化計算機があることになっていました。実際メンテナンス中にはそちらに切り替えている描写があります。5重化システムという複雑な構成をとらずに、2セットを切り替えて使用するというのも、全体の開発コストを抑えるためにはよい工夫だと思います。

  • なお基地の自爆の判定では、1台が最後まで抵抗したため否決されたことになっています。つまり単純な多数決ではないことになります。このシステムの投票ルールが、常に「3台とも一致」でなければならないとすると、もしも故障したシステムが1台あるだけで、正しい選択が出来ないことになります。機能安全的にはあまり望ましい設計ではない気がします。

  • 3台のうち「正常なのが残り1台」になってハラハラドキドキ感が高まるのは、演出上はわかります。しかし機能安全を考える立場からすると、「残り2台が正常」の段階で敵に勝つというストーリにしてくれたほうがしっくり来る気がします。