Seminar Report
CRユーザーズフォーラムを開催
「基板設計」という観点から「熱設計」を考える
2013.04.18
2013年3月8日(金)、図研本社・中央研究所にて開催した「CRユーザーズフォーラム」。
今年は、電子機器の小型化、高集積化に伴い近年その重要性が増している「熱」をテーマに、その対策に関する様々なアプローチをご紹介しました。
■基調講演:「部品の熱は基板で冷やす!」
~セットと基板のコラボレーションで熱問題を解決する~
株式会社サーマルデザインラボ 代表取締役 国峰 尚樹様
基調講演では、熱設計の第一人者である株式会社サーマルデザインラボ 代表取締役 国峰 尚樹様より「基板」からアプローチする「熱対策」についてお話いただきました。
まず最初に解説いただいたのは、「電子機器のトレンドと熱設計の変化」ついて。
製品の小型化・高密度実装に伴い、部品からの発熱密度は大きくなり、一方で筺体はファンレス化の要求から空冷機能が低下。その間に位置する基板の熱設計の難易度がますます高まっているとのことでした。製品の変化とともに、熱設計はファンや通風口といった筐体からの放熱だけでなく、熱伝導を考慮した基板/部品からの放熱対策も必要になってきているようです。
では、この基板に対する熱設計への解決策とはどのようなものなのでしょうか?
それは、基板を部品実装する板という役割だけでなく、もっと放熱部材としての役割も重視しましょう、というものでした。講演の中では具体的に、基板の厚さ、層数、放熱面積、部品の配置位置、サーマルビアの数など基板設計時に考慮すべき熱設計の要点を、数式や温度分布図などを駆使してその解決策を紹介していただきました。
そして最後に、熱設計の成否を握る、筺体の熱設計と基板の熱設計の連携についてお話いただきました。
(参加者の感想)
- 熱設計のトレンドのお話は大変勉強になりました
- 今までこういう視点で考えたことがなかったので勉強になりました
■熱設計ソリューションのご紹介
株式会社ジィーサス 熱設計ソリューション部
ジィーサスからは、ツールおよび教育という観点から熱設計ソリューションを紹介しました。
構想設計段階で電子機器の熱設計プロセスを支援するツール「ThermoSherpa」については、目標温度を設定することの重要さ、熱流体解析とどう使い分けるのか、という基本コンセプトから始まり、パラメータ設定、結果表示など、デモンストレーションを見てもらいながら機能を紹介。具体的な熱対策の選択肢として、ファンの有無、通気口の位置や大きさ、許容温度を超えそうな部品の抽出、など手戻りの削減のために有効な手段が検討できる様子をご覧いただきました。
また、熱設計という領域においては単にシミュレータやツールを導入しただけでは熱問題を解決できる訳ではなく、原理から学び適切にツールを使いこなすスキルが重要とのこと。
ジィーサスで提供している熱設計教育「基礎編」「応用編」のカリキュラムを紹介しました。カリキュラムはカスタムも可能で、国峰様の今回の講演テーマである「基板」から考える熱設計に関するメニューも用意しています。
(参加者の感想)
- ユーザインターフェースが見やすく使いやすそうですね
- 熱対策の具体的な事例説明があり分かりやすかったです
■「CR-8000 Design Force リリース2013新規機能及び今後の開発計画」ご紹介
株式会社図研 EDA事業部EL開発部、営業技術部SE課
最後に、Design Force2013の新機能についてご紹介させていただきました。
複数の設計者が一つのパッケージ/基板を同時に設計する「マルチエリア同時並行設計」やSI解析やPI/EMI解析とのダイレクト連携、外部CAEシステムとの密な連携、「ジグザグ配線」「差動配線」等の高速配線に対応した配線機能の強化など、複数の作業をコンカレントに設計可能にする機能や高度な配線機能がお客様の関心を集めました。
(参加者の感想)
- マルチエリア並行設計機能が使いやすそうでした
- 従来の同時並行設計機能と比較して制限事項がなくなり便利そうです
- SI/PIなど解析機能が複数基板で実行でき、連携も便利そうです
■フォーラム終了後の懇親会の様子
フォーラム終了後の懇親会では、お客様同士、図研営業・エンジニアを交えての情報交換や、今回のテーマ「熱設計」について活発な議論で盛り上がっていました。次回もまた新たなテーマでフォーラムを企画予定ですので、今回参加できなかったお客様も是非、次回のご来場をお待ちしております。