Club-Z特集:Zuken Innovarion World 2015特別レポート

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑Club-Z特集

《 Zuken Innovation World 2015 特別レポート① 》
「ロボット時代の創造」
 ロボットクリエーター 高橋智隆氏による講演内容のご紹介

2015.10.29

ということで、スマホとロビのようなロボットが一緒になって、そしてエボルタくん(※1)ぐらいのサイズになればしゃべりかけるのではないか。人型の端末がスマホの次の端末になりうるのではないかと、そんな奇想天外なことを言っていたら、それは面白い一緒にやろうという会社が現れまして、そして開発したのが “RoBoHoN(ロボホン)”です。

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これは、胸ポケットに収まるサイズの電話です。電話をかけると通話できます。手に持ってしゃべるとなんだか不思議な絵ですが、スピーカーフォンにするともうちょっと普通かと思います。スピーカーフォンにするとあたかも相手がそこにいるかのように話せます。

通話の他にも、メールしたり、写真を撮ったりすることもでき、さらには、頭にフォーカスフリーのレーザープロジェクターが入っているので、写真や動画、地図などを天井や壁に映したりすることもできます。当然ロボットとして歩き回ったり喋ったりします。
こんなモノをシャープさんと一緒に作って来年前半に発売しようと思っています。


■ 新しいプラットフォーム

この10年、いろんなイノベーションがこのスマホの中で起きていました。様々な面白いアプリやサービスが生まれ、活用されてきました。そしてこのスマホを発明したとも言えるアップルは、多くの面白い発明を生み出し、そこから巨額の利益を得ています。

しかし、そろそろ新しいハードウェアプラットフォームを創る時期ではないでしょうか。
というのも、スマホのアプリを開発していてもアイデアはほぼ出尽くしてしまっています。例えば健康アプリだけで世界中に何万あるかわかりません。運良く新しいアイデアを思いついて新しいアプリを作ったとしても、それで一昔前のような利益を上げることは難しくなっています。

そこでまったく新しいプラットフォーム、このロボットのような人型のスマホ(手・足・頭がついていて、プロジェクターがついていて、音声コミュニケーションをメインにできる)という端末を世に問えば、アイデアを持っていたベンチャーなりクリエイターなりが再びその才能を解き放ち、新しいサービス、新しいアプリが生まれてくるのではと期待しています。

ということで、人型のスマホを1人1台持つような時代を数年以内に実現したいと思っています。


■ これからのモノづくり

これはロボットに限らずのことですが、モノを創る時には、遊び心が大事だと思っています。今までの開発、今までの発明というのは、世の中にある不便とか危険を解消するために行ってきました。しかし、そういう問題もほぼ出尽くしてしまったわけです。特に先進国にいると、不便はおおかた無くなってしまっています。
一方で新しく生み出された産業、例えばTwitter、FacebookとかYouTubeとかは、何か既存の問題を解決するための手段ではありません。むしろ当初は遊びみたいなものだったのです。何の目的もない、何かの代替手段でもなかった。でもそれをインターネット上に公開していたら、「面白い」といろいろな人たちが使うようになり、人が使うようになった後から用途が生まれました。用途が生まれてたくさんの人が使うと、そこに広告を載せたり、ビジネスプランができあがってきます。

遊びのようなものが実は後になってから用途を生み、さらにビジネスにもなる。そしてまわりまわって人の役に立つ。この発想は、おそらく様々な分野に応用できると思っています。面白い遊び心のあるクリエイティビティを発揮するためには、経済的な余裕であったり、文化的な豊かさが必要であり、先進国ならではです。日本もこのような先進国型のクリエイティビティに移行していかなくてはいけないのではないでしょうか。

というわけで、ロボットに対してもそういう目で見ていただきたいのです。
いま人がやっている作業の代わりという発想だけでは、現状どうしても人件費や、人間の能力に追いつかないわけです。そうではなく、まったく遊びのように思えるかもしれませんが、新しいコミュニケーションの形、それがゆくゆくは人の役にたって、産業にもなりうるのではないかと考えています。


■ 最後に

ロボットのことを我々ロボットの専門家ばかりが考えていると、遊び心が大事だと言いつつもつまらない方向にいってしまいがちです。ロボットが一人一台普及すると、ほぼすべての産業、どんなサービスでもどんな製品でも、そして日常生活でも必ずロボットと接点がでてきます。みなさんのそれぞれのご専門とロボットとを掛け合わせて、ぜひ新しいアイデアを生んでいただきたい。そうすることで、数年以内に1人1台のロボットと暮らす時代が、日本から世界にむけて広がっていくのではと思います。

ご清聴ありがとうございました。


株式会社ロボ・ガレージ LinkIconhttp://www.robo-garage.com/

(※1)エボルタくん http://www.robo-garage.com/prd/p_03/index.html


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