Club-Z特集:Zuken Innovation World 2014 アカデミックセッション特別レポート①

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑Club-Z特集

Zuken Innovation World 2014アカデミックセッション特別レポート①

三次元半導体研究センターにおける
三次元実装のチャレンジ
─ 福岡大学 工学部 電子情報工学科 友景教授による講演内容のご紹介

2014.10.30

データフォーマットFUJIKO

データフォーマットFUJIKOに関しては、JPCAでも既に規格化され、図研をはじめとするCADベンダーが対応し、現在では国内で使用される90%のCADから出力が可能となっています。また、業界内で流通させるためにネックとなっていた設計・製造ノウハウの漏洩を防ぐために、暗号化にも対応しています。

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FUJIKOのメリットとしては、5つあげられます。

・部品内蔵基板など三次元実装のデータを保持できる
・CADが違っても相互に設計可能
・シミュレーションが可能
・CAM出力も可能
・高速で高信頼性検査データ、テストデータを転送可能

実装の課題としては、以下の項目が挙げられます。

・ICパッドから実装基板への接続がより微細化する(シリコンに近づく)
・接続信頼性が求められ、実装時の応力を考慮しなければならない
・動作時の熱応力も考慮しなければならない
・接続界面、特にめっき面の応力評価

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微細銅配線形成に関しては、有機材料上にステッパで露光することにより、現在パターン幅2μmスペース2μmの微細パターンを形成する技術を確立しています。これは、シリコンウエーハ上にパターンを形成する技術を応用しています。また、プリント基板上の高速伝送路の評価も、シミュレータと実測値とで、50GHzまでSパラメータを測定できています。シミュレータは100GHzまで求められますが、実測の方がまだ60GHz辺りが限界です。

まとめとして、シリコンはもっとプリント基板ライクに、プリント基板はシリコンライクに作ろうということがセンターのポリシーです。これは、プリント基板とウェハ両方の技術を兼ね備えた研究機関、三次元半導体研究センターであるからこそできると思っています。
これからもこのセンターが新しい産学共同の研究の場として、新しい実装技術へ挑戦していきます。もし興味があれば見学も自由ですので来ていただけたらと思います。
どうもご清聴ありがとうございました。

【Club-Z編集部より】

半導体分野のイノベーションは米国シリコンバレーにおいて巨大企業(資本)やベンチャー企業(ユニークな技術)が集積して様々な成果を生み出していますが、ここ三次元実装研究センターではコンソーシアムが中核になって多くの企業の共同研究の場を作り、さまざまな技術と知恵をすり合わせてイノベーションにチャレンジしている息遣いを感じました。日本が得意とする半導体とプリント基板の製造技術を、日本人が得意なすりあわせ技術でクロスオーバーすることにより、これから大きな研究成果が期待できると感じました。

なかでも三次元実装技術に関しては、従来から図研が行ってきたFUJIKOファーマットの製品化と普及のための啓蒙活動だけでなく、各研究テーマのキーワードたる部品内蔵基板、インターポーザ、TSV、微細化配線、高速化など図研製品であるDesign Forceそのものの得意とする設計・検証機能と分野が完全にオーバーラップしますので、今後ますます共同研究活動が楽しみです。

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