サッスガ!部品ちゃん

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

サッスガ!部品ちゃん

【第1話】 ~あんなデータに変換した覚えはない~

2009.08.27

■ 2007年4月 ■

今回のモデルでは、基板設計会社から上がってきた基板データに対して、回路設計部で電気的な検証を済ませた後、技術管理課を介して、3D中間ファイルを機構設計部に渡すという運用フローが、初めて適用された。

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10月から技管に異動し、この半年間、エレメカデータ連携の運用構築の中心的な役割を担ってきた狭間は、設計者に付きっ切りのサポートを行なっていた。

いよいよメカCADへの取り込みというとき、狭間は機構設計部の合田の席にいた。

(合田) 「おー。基板だ。」
(狭間) 「うまく取り込めてますよね。これを筐体内に配置してみてください。」
(合田) 「こうか。おー。なるほど。これなら今までよりはイメージがしやすい。」

『イッターィッ!』

(狭間) 「ん?いま何か言いましたか?」
(合田) 「あー、イメージしやすいってこと。これなら干渉が起こりそうな部分の洗い出しも楽そうだな。」
(狭間) 「そ、そうですか・・・。(おかしいな、痛いって聞こえたような・・・)」
(合田) 「なんだよ狭間。どうかしたか?」
(狭間) 「い、いえ・・・。それじゃあ、この後、他のプリント基板のデータも用意しますので、同じように組み込んでみてください。」
(合田) 「わかった。やってみよう。田中さ~ん、ちょっとこっち来て、これやってみて欲しいんだけど。 ・・・・ ・・・・」
(狭間) 「では明日、回路設計の細川さんも交えて、検証しようと思いますので、よろしくおねがいします!」
(合田) 「了解~」

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狭間は機構設計部のフロアを後にし、席に戻ると、早速その他のプリント基板データから、3Dの中間ファイルの生成に取り掛かった。

(狭間) 「(でもさっきの声・・・まーいいか、気のせいだ。)」


翌日 、予定通りに3D検証会が行なわれた。
会議室には、機構設計の合田、田中、回路設計の谷川、細川が集まり、基板データを取り込んだ製品イメージを3D-CADで表示していた。

(合田) 「どう?ちょっとちゃちいけど、イメージは今までよりもよく分かるだろ。」

合田はなにやら満足気だ。

(細川) 「そうですね。あー、そのコンデンサのところ!上の基板とのクリアランスが保ててないんじゃないですか?」
(合田) 「そうなんだよ。サッスガ、細川。見てすぐ指摘してきたなあ。」
(細川) 「いや~、それほどでもー」
(合田) 「ガーハッハー。まーお前じゃなくて、データが見やすくなったってことだ。ガーハッハ。」
(細川) 「・・・。」
(谷川) 「狭間くんがいろいろ準備していたみたいですけど、彼は呼んでいないんですか?」
(合田) 「あー、実はこのデータを部内で見せたら、他の機種でもやってみたいって話が出たんで、いまそっちも用意してもらっているところです。」
(谷川) 「そうですか。あいつも少しは使えるようになったのかな~。 なんつって !オホホホホー」
(合田) 「ガーハッハ。まーそのうち来るだろうから、進めちゃおう。さっきのコンデンサのところだけじゃなくて、他にもあるんだ。」
(田中) 「今回3次元化したプリント基板を配置したところ、何箇所か干渉の可能性がある部分が確認できますので、順に見ていただきます。」

田中からは、プリント基板同士の部品干渉箇所3点と板金部品とプリント基板上の部品との干渉箇所2点が指摘された。また細川からは、ヒートシンクを考慮したクリアランス不足の指摘が行なわれた。初期段階でこれほど多くの課題が明らかになることは、今までになかったことだった。
その後、それぞれの指摘事項に対する対応策が検討され、検証会が終わろうとしていた、そのとき。

(狭間) 「すみません、お待たせしました。」
(合田) 「おー、狭間か。もう終わりだぞ。」
(狭間) 「えー!もうですかぁ?」
(合田) 「洗い出しは終わったから、これから設計変更に取り掛かろうと思う。」


『まだ終わってないってば~!』