Club-Zコラム第22回

印刷用表示 | テキストサイズ 小 | 中 | 大 |


clubZ_info_renewal.jpg

| HOME | コラム | グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス | 第22回 | P1 |

更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第22回】品質の仕組みとは

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.05.28

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


製品開発を行っている組織において、設計・製造の仕組みを構築したり見直したりするというとき、品質向上に貢献することが何らかの形でゴールのひとつとなっていることは多いと思います。もちろん、品質向上そのものがゴールとなっている仕組み構築プロジェクトもあるでしょう。また、品質という言葉を聞かない日はないくらい、品質重視は当たり前のことになっていることでしょう。グローバル化によってビジネスを成功に導くための要因は複雑化しているものの、依然として、品質が日本製造業の競争優位性を約束してくれる重要な要素であることは間違いないと思います。

実際、製造部門の QC からはじまった品質管理の仕組みは、TQC (Total Quality Control) という開発に関係しているすべての組織での品質管理になり、さらには、TQM (Total Quality Management) という経営戦略として品質を維持、あるいは、向上するためのシステムに発展し、仕組みとして完成されたものになっています。

反面、品質があまりにも当たり前のことになってしまっているため、深く考えることが少なくなっている部分もあります。組織方針が「品質第一」となっているにもかかわらず納期最優先の開発を行っていたり、その組織方針も相も変わらず毎年品質第一で、何も工夫も活動もやっていなかったり、ISO 9001 などの仕組みが形だけになっていたりと、できていないことを上げるときりがありません。

設計・製造の仕組み構築を行う際も、単に発生した市場不具合を解決することを目指していたり、納期や効率を目標にすることも多く、品質を仕組みとしてとらえることは少ないように感じます。仕組みを見直した結果を規程や規約などの ISO 文書にすれば品質については十分というようなレベルの組織も少なくありません。

きちんとできている組織はもちろんありますが、今回は改めて品質について考えてみたいと思います。