Club-Zコラム第12回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第12回】必要なのは仕組みの進化&深化

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2008.07.24

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPG    book2.JPG


前回は、リスク管理が重要であることと、その反面、リスク管理の仕組みを運用しているところでもリスク管理シートを書いているだけという、表面的な仕組みになっているところが多いことをお伝えしました。そして、リスク管理を開発現場で活用する仕組みとして、開発シナリオにブレークダウンする方法を紹介しました。

リスク管理に限らず、開発の仕組みには様々なものが存在しますが、仕組みを整備しても、運用が教科書的なレベルにとどまっているために十分な効果や成果につながっていないことは多いものです。リスク管理を開発シナリオに発展させたように、基本の仕組みを進化・深化させることが、より大きな効果や成果を手に入れるために必要なのです。今回は、プロジェクト管理を対象に、基本の仕組みをどのようにして進化・深化させるかについて考えたいと思います。

さて、プロジェクト管理の仕組みは、PMBOK や CMMI など様々な教科書がありますから、考え方や目指す方向性などについては多くの方が理解されていることと思います。そこで今回は、CMMI を使って少し現状について考察してみましょう。

図31は、CMMI 段階型モデル表現における成熟度レベル2のプロセスエリアを使ったアセスメント結果です。この評価項目は、プロジェクト管理の基本の仕組みができているかどうかを判断できるもになっており、図では、電子・電気機器の製造業を主に数十社について最低点が1、最高点が5として評価した平均点です。

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この評価結果から、「要件管理」「プロジェクト計画策定」「プロジェクトの監視と制御」「計測と分析」が弱いことがわかります。私が実施するアセスメントは、表面的な事象(現象)が記述にあったものになっているかどうかだけでなく、その事象(現象)が妥当な過程や理由をともなっているかどうかまで評価するため少々辛めの点数になっていると思いますが、仕組みを進化・深化させるためには、このような視点で評価することが重要です。

計測と分析はプロジェクトの監視と制御が弱いことと強い相関がありますので、ここではプロジェクトの監視と制御に含めます。それでは、このアセスメント結果を参考に、プロジェクト管理の仕組みを進化・深化させるために何が足りないのかを考察したいと思います。