コラム
同時にやるシクミづくりとヒトづくり。
やっと気づいた改革の本質
【第37回】必要最小限の手間で効率的な実践的進捗管理(2)
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2014.06.19
図101 は不具合ライフタイムとよんでいるグラフで、ある製造装置の開発プロジェクトのデータです。検出された不具合について、発見から修正完了までの期間を不具合が生きている期間(ライフタイム)と考えてその日数を横軸にとり、その日数ごとの不具合件数を縦軸にとっています。
これもどのような組織でも同じような傾向になるのですが、このメーカーの場合は不具合ライフタイムはうまくマネジメントされているプロジェクトの場合には橙色の線であらわしているようなパターンになっています。この橙色の基準モデルとプロジェクトでの実績値とを比較することにより、テストをやり直す必要があるのか、設計から見直す必要があるのかなどを判断することができます。
図102 は開発工程別の工数比率であり、ある製品に部品を供給しているベンダーの実績を比較したものです。これらのベンダーの部品開発の中で納期や品質が高かったものをそのベンダーの代表値としています。したがって、基準モデルと比較することにより、各ベンターの実力や強味・弱味を客観的に判断することができます。
メトリクス管理の成果
紹介した3つの技法にもとづいたメトリクス管理の仕組みができれば、総合的な開発マネジメント改善につながり、QCD のいずれにも改善効果が期待できます。これまでにメトリクス管理の仕組みを構築することで実現した成果の一例を図103 に示しています。開発マネジメントを大きく改善する仕組みであることがわかると思います。
さて、2回にわたってメトリクス管理について紹介しましたが、いかがだったでしょうか? メトリクス管理の仕組みで大切なのは1日でも早くデータを収集し蓄積することです。メトリクス管理の仕組みは地道に PDCA サイクルを回すことが大切で、それにはまずデータを収集・蓄積することからです。まだ、取り組んでいなかったり、手間ばかりかかって大変だというところはぜひ、今回の3つの技法によるメトリクス管理を検討してみてください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
●執筆者プロフィール 石橋 良造
日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社し、R&D 部門で半導体計測システムの開発に従事した後、開発プロセス改革プロジェクトに参加。ここで、HP 全社を巻き込んだ PLM システムの開発や、石川賞を受賞した製品開発の仕組み作りを行い、その経験をもとに 80 社以上に対して開発プロセス革新やプロジェクト管理のコンサルティングを実施。独立して株式会社 RDPi を設立した後は、より良い改革のためには個人の意識改革も必要、と、北京オリンピックで石井慧を金メダルに導いたピークパフォーマンスのコーチ養成コースを修了し、個人のやる気やモチベーションを引き出す技術の開発と、開発プロセスやプロジェクト管理の仕組み改革との融合を続けています。
●株式会社 RDPi :http://www.rdpi.jp/
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仕組みと意識を変える RDPi