Club-Zコラム第23回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


同時にやるシクミづくりとヒトづくり。
やっと気づいた改革の本質

【第23回】目標設定・計画作成はムービング・ターゲットには効かない

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

2013.01.24


2013 年がはじまりました。もう、「あけましておめでとうございます」という時期は外していると思いますが、今年もよろしくお願いいたします。

私は今年も初日の出を見ることからはじまりました。雲がかかっていましたが、冷たく澄んだ青い空がオレンジ色に染まっていく景色を堪能でき、気持ちの良い年明けでした。

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さて、新年を迎えて、気持ち新たに今年の計画を立てた方も多いのではないでしょうか。

毎年、年が明けると増えるのが、「夢をかなえる」「なりたい自分になる」というタイプの記事やセミナーです。どれも同じとはいいませんが、しばしば共通しているアドバイスに、やることや目標を具体的にして宣言することと、その目標を達成するまでのステップを具体的に計画するということがあると思います。「目標設定」と「計画作成」が基本、というのは納得感がありますから、アドバイス通りにやってみようと思いますよね。

また、仕事においても「目標設定」と「計画作成」はよく耳にしますし、口にすることも多いのではないでしょうか。耳にタコができるくらい言われている人、あるいは、メンバーに言っている人もいるかもしれません。できて当たり前という感じですよね。

ただ、最近この「目標設定」と「計画作成」が当たり前になっていることに疑問を感じています。

「目標設定」 と「計画作成」は、登山のように目標とする山もその山頂もずっとそこにあり、山頂に至るコースも地図で事前に確認できる、もしくは、想像がつくという条件の下では有効なアドバイスですが、その条件が変わってきたのではないかと思うのです。

周りには多くの不確定要素があり、周りの状況は常に変化して、そのスピードもどんどん速くなっている、今はそんな世の中です。変化の激しい中では、目標そのものもどんどん変わるはずです。地図もどんどん古くなっていき役に立たなくなります。そんな状況下で「目標設定」と「計画作成」を重視するのは良いアドバイスとは言えないでしょう。

目標は動くものであり、追いかけるものなので、目標を追う行為そのものに「興味」を持つことが大切になります。それは、目標を追いかけるために必要になる工夫や行動は、誰に言われるまでもなく自分でやることにもなります。計画を作ることに力を注ぐことではなく、目標を追いかけて、どのような状況になったとしても、その状況で必要なことをやるという「姿勢」や「在り方」が大切なのです。

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MIT メディアラボ所長の伊藤穰一氏が同じような話をしています。教育がテーマなのですが、「興味を持つ」ことが根本であり、大切なのは「教育」ではなく「学び」だということを言っています。教えられる「何か」が大切なのではなく、「どうやって」学ぶのか、その姿勢を身につけることが大切だということです。


学ぶべきは、「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」
http://wired.jp/2013/01/01/vol5-joiito/?utm_source=feed&utm_medium


動く目標を追いかける、そのために必要なことは自ら学ぶというのは、自分が興味があるからやる、自分が大切だと思うからやる、意味があるからやる、ということであり、これは「内発的動機づけ(モチベーション)」に他なりません。目標達成のカギは内発的動機づけなのです。

「夢をかなえる」という話も同じです。大切なのは、夢を具体化することではなく、夢を深掘りしてそのエッセンスを知ることです。ミュージシャンになることが夢だと思い、バンド活動をしていたけど続かなかった。それは、バンド活動そのものが好きなのではなく、お客さんと一体感を感じることが好きだと言うエッセンスに気づかなかったからです。エッセンスがわかっていれば、目標は状況や条件に合わせて、変わっても良いのです。自分にとって大切なのは一体感を実感すること、それを知ることが夢を追いかけるエネルギーになります。

内発的動機づけが大切な世の中だからこそ、モチベーションを引き出すことを技術としてとらえ、その技術を身につけることが大切だと考えます。今年も、モチベーションの技術を紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

<お知らせ>
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speaker.jpg●執筆者プロフィール  石橋 良造
日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社し、R&D 部門で半導体計測システムの開発に従事した後、開発プロセス改革プロジェクトに参加。ここで、HP 全社を巻き込んだ PLM システムの開発や、石川賞を受賞した製品開発の仕組み作りを行い、その経験をもとに 80 社以上に対して開発プロセス革新やプロジェクト管理のコンサルティングを実施。独立して株式会社 RDPi を設立した後は、より良い改革のためには個人の意識改革も必要、と、北京オリンピックで石井慧を金メダルに導いたピークパフォーマンスのコーチ養成コースを修了し、個人のやる気やモチベーションを引き出す技術の開発と、開発プロセスやプロジェクト管理の仕組み改革との融合を続けています。
●株式会社 RDPi :http://www.rdpi.jp/
●メトリクス管理ウェブ : http://www.metrics.jp/
●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●ブログ : http://ameblo.jp/iryozo/entrylist.html
●facebook : やる気の技術   仕組みと意識を変える RDPi


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