SIシミュレーションナレッジ
コラム9<SIシミュレーターで配線長から伝搬遅延を算出する>
2009.07.23
DDRインタフェースなどの高速パラレル伝送では、動作の基準となるデータストローブ信号(DQS)とデータバス信号(DQ)は受信する時間(タイミング)のマージンが決められており、これに沿って設計を行う必要があります。
そのマージンに反した時間的なズレが発生してしまうと、正常動作しなくなってしまう場合があります。
時間的なズレの発生要因の1つとして、各配線長のばらつきがあり最近注目されています。
基板設計ではこういったズレの対処として、データストローブ信号とデータバス信号の配線長を揃えるといった対処をしています。
最終的には、各信号を受信するタイミングが揃っているかどうか確認する必要があり、配線長から伝搬時間を算出する必要があります。
SIシミュレーターにはフィールドソルバーというツールが搭載されており、主に特性インピーダンスの算出に利用されますが伝搬速度も算出することができます。これらの計算には、基板の各層の厚み、銅箔の抵抗率、絶縁層の誘電率、誘電正接が使用されます。
CR-5000 Lightningでは、フィールドソルバーで算出された伝搬速度と基板CADデータの配線長を元に、信号伝搬時間を算出することができます。
さらに、クロック信号やデータストローブ信号の配線とバス信号の配線を相対比較して、それらの伝搬時間の差(スキュー)を算出することもできます。