株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

誰かが嬉しそうに話をしてきたとき、あなたはどのように反応していますか?人が自分に起きた良い出来事をあなたに伝えるときのあなたの姿勢によって、その関係を深めることも、不安定にしてしまうこともあります。前回の褒め方の技術に続き、今回も人との良好なつながりをもつための技術を紹介します。


 

こんにちは、RDPi 石橋です。

前回の褒め方の技術に続き、今回も人との良好なつながりをもつための技術の紹介です。

人が自分に起きた良い出来事をあなたに伝えるときのあなたの姿勢によって、その人との関係を深めることもできれば、不安定なものにしてしまうこともあります。

人は他者の悪い出来事には強く反応しがちですが、良い出来事に対して心から共感するのは簡単ではありません。だからこそ、良い出来事を伝えようとする相手への反応にも理論と技術があります。

 

相手への反応4分類

 

より良い人間関係を築くには、相手に起きた良い出来事について話を聞くときの自分の反応がとても重要になります。例えは悪いですが、「人の不幸は蜜の味」というように人は他者の悪い出来事には強く反応しがちなのですが、反面、他者の良い出来事に心から共感するのは簡単ではありません。だからこそ、相手の良い出来事に心から共感する姿勢が重要なのです。この良い出来事を伝えたい、共有したいと思ってる相手から話を聞いたときの反応は、積極的(Active)か消極的(Passive)かの軸と、建設的(Constructive)か非建設的(Deconstructive)かの軸で分かれる4つに分類することができます。

積極的とは会話に興味を持ち質問や感想などの反応を返す姿勢で、消極的とはその逆で自分中心で会話に適切に反応しない姿勢です。建設的とは相手との関係を深めようというという姿勢、非建設的はその逆の薄い反応しか示さない姿勢です。

図154 に、この2つの軸によって分類される4つ反応それぞれの特徴をまとめました。すべての特徴がそのまま当てはまるわけではありませんが、どのような態度なのかをイメージできると思います。

 図154 良い出来事を聞くときの反応4分類

図154 良い出来事を聞くときの反応4分類

わかりやすいように、積極的建設的(active-constructive; ac)な反応をしている人は相手の喜びをさらに盛り上げる「喜び増強者」、積極的非建設的(active-deconstructive; ad)は会話を途絶えさせてしまう「会話殺し屋」、消極的建設的(passive-constructive; pc)は喜んでいる気持ちを奪ってしまう「喜び泥棒」、消極的非建設的(passive-deconstructive; pd)は相手の話を聞かず自分の話にしてしまう「会話乗っ取り犯」と名前をつけてみました。

さて、誰かが嬉しそうに話をしてきたとき、あなたはこの4つのうちのどの反応をしているでしょうか? その反応は相手によって変わっているでしょうか? まずは自分の反応を振り返ってみてください。

 

積極的構造的反応(Active Constructive Responding)

 

「喜び増強者」「会話殺し屋」「喜び泥棒」「会話乗っ取り犯」の4つの反応のうち、とるべき反応は当然、「喜び増強者」の積極的建設的反応(Active Constructive Responding; ACR)ですよね。

ただ、相手や状況によって自分の反応が変わることもあります。だからこそ、今日あるいは昨日、自分は誰にどんな反応をしたのかを振り返ることが大切です。

より理解を深めるために、実際に4つの反応がどのような感じになるのか、パートナーが家に帰ってきて「ぼく昇進したよ!/私昇進したわ!」とうれしそうにあなたに話をしたときの反応例を、図155 にまとめました。

図155 4分類の反応例

図155 4分類の反応例

 

 

相手とよりよい関係を構築するには、積極的建設的反応をとるべきなのは明らかですが、誰かが大喜びでビッグニュースを伝え始めた時だけ気をつければいいのではありません。普段の小さな出来事、いつもの会話の中で、誰かが少し嬉しそうに「今日ね」「さっきのことなんだけど」とあなたに話し始めた時はぜひ、積極的建設的反応をする喜び増強者になることを意識してください。

ちなみに、様々な実験により積極的建設的反応の効果は非常に高く、壊れた夫婦関係やこじれた親子関係を修復する際にも有効なことがわかっています。人間関係で逆境にある人は、自分の反応タイプを振り返ってみて、その人(たち)に対して積極的建設的反応をする機会を増やすことで、今の状況を変えることができる可能性があります。

人との良好な関係を構築するためには、普段から人とのつながりを大切にする行動をとっている必要があります。そのためには、前々回から紹介している3つのスキルを自分のものにしてほしいと思います。いつものセリフになりますが、自分のものにするには練習することが大切。毎日、練習あるのみです。

ただ、突然、別人のように変わることはありえません。目指す姿を明確にして、毎日少しずつ、昨日よりも今日はよくできたというくらいの気持ちで、変わる意識を持ち続け、練習を継続することがもっとも重要なことです。私もまだまだ練習が足りません。一緒に頑張りましょう。

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

speaker_ishibashi

●執筆者プロフィール  石橋 良造

日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社し、R&D 部門で半導体計測システムの開発に従事した後、設計・製造改革プロジェクトに参加。ここで、HP 全社を巻き込んだ PLM システムの開発や、石川賞を受賞した製品開発の仕組み作りを行い、その経験をもとに 80 社以上に対して開発プロセス革新やプロジェクト管理のコンサルティングを実施。

コンサルティングを続ける中で、より良い改革のためには個人の意識改革も合わせて実施する必要があるとの思いが強くなり、独立して株式会社 RDPi を設立した後、北京オリンピックで石井慧を金メダルに導いた(株) チームフローのコーチ養成コース、および、一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会の公式プラクティショナー・コースを修了し、個人のやる気を引き出す技術の開発と、開発プロセスやプロジェクト管理の仕組み改革とを融合した改善活動を続けている。

●株式会社 RDPi :http://www.rdpi.jp/

●メトリクス管理ウェブ : http://www.metrics.jp/

●Email :  ishibashi@rdpi.jp

●ブログ : http://ameblo.jp/iryozo/entrylist.html

●facebook : やる気の技術  仕組みと意識を変える RDPi

※石橋氏の過去記事一覧はコチラ