基板と熱設計

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑基板と熱設計

1.なぜいま熱設計がホットな話題なのか?

株式会社ジィーサス

2010.07.22

はじめまして。株式会社ジィーサスの藤田と申します。これから数回に分けて「基板と熱設計」というタイトルで記事を書かせていただきます。初回はなぜ熱設計が必要なのか?を理解してもらいたいと思い、バブル以後の市場動向を踏まえた勝手な品質論を展開します。2回目以降は、発熱源である部品を搭載しなければならない基板を中心として、熱設計をどう考えればよいのかを説明していきたいと思います。

1. なぜいま熱設計がホットな話題なのか?

最近、業界雑誌や展示会等で「熱設計」という単語をよく聞くようになりました。「エコ」とか「省エネ」という言葉がはやる時代になんで?と思っていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか?
実際にインターネットで検索していただくとわかりますが、熱設計に関するウェブサイトや文献、セミナーや書籍案内が数多くヒットします。そしてその大部分は私たちが関係しているエレクトロニクス製品を対象としています。
いまこの文章を読みながらウェブブラウザーの別ウィンドウを開いたあなた、ついでに検索エンジンに「nite」と入れて検索してみてください。すると「NITE独立行政法人 製品評価技術基盤機構」のページがヒットすると思いますので、そのウェブを開いて上から数行目にあるオレンジ色のハイパーリンクの一番右側「事故の調査結果(検索)」をクリックしてみてください。更にそのページにある「事故情報の検索」というハイパーリンクをクリックすると検索画面が開きますので、キーワード条件に「熱」と書きこみ、検索項目で「事故原因」を選んで「検索する」ボタンを押してみてください。
何を検索したのかというと、独立行政法人 製品評価技術基盤機構の膨大な事故データベースの中で、「熱」を事故原因とする事故情報を検索したのです。画面には10件の事故情報が表示されていると思いますが、この記事の執筆時点(6月15日)で検索結果のヒット数は9500件を超えています。全てを見たい人は「検索結果をCSV形式でダウンロード」をクリックして、ダウンロードしたファイルを見てください。

あなたが製品設計に従事している設計者なら、自分が設計している製品と同じジャンルの製品の事故内容を読むと、少なからず思い当たる事故原因があるのではないでしょうか?


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「歴史は繰り返す」ではないですが、思い当たる場面があるということは、同じような事故もしくはヒヤッとした経験を持っているということだと思います。会社が違えば設計状況も違うはずですが、なぜか同じような原因の事故例が数多く記録されています。かくいう私も、過去に経験した熱問題と同じような原因の事故例をこの記録から数多く見出しました。幸いなことに私は重大事故(検索した事故情報の年度番号の頭に「A」が付いている事故)に遭遇したことはありませんが、たとえば「熱膨張差によるはんだクラック」とか「通風孔の埃の堆積」などは経験しています。
なぜ同じような事故が減らないのでしょうか?