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図研ベテランSEによる知って得する機能解説
-CR-8000 Design Force版 EMCアドバイザEX 新登場!!-
2012.11.22
“EMCアドバイザ”は、Board Designer用に1999年にリリースしました。以後、多くのお客様の設計現場にてEMCの品質改善に活用されてきました。
また過去、このメルマガでもEMCアドバイザを紹介してまいりました。
図研ベテランSEによる知って得する機能解説 -EMCアドバイザ編-
そして今年、今年EMCアドバイザがDesign Force版としてリニューアルし登場しました。
新しくなったEMCアドバイザをご紹介する前にまずは、電気機器におけるEMC規制(電磁波ノイズ規制)に対してどのように対処していけばいいのかという課題に対する方法論からご説明します。
■ EMCの負のループから脱却する
一般的に電気製品は、機器種別や出荷先毎に決められているEMC規制をクリアしなければなりません。すんなりと規制マージンが確保できて、クリアできれば何も問題はないのですが、問題があったときには、手戻りの時間、工数というロスコストが発生します。手戻りが何度も発生してしまうといった「負のループ」から脱却するためのアプローチとして、ノイズの根源であるPCBの品質を設計段階で上げることが重要になってきます。よく言われる、フロントローディングの考え方です。設計段階でPCBの品質を検証するツールとしては、以下の2つがあります。
- ①EMCルールベース検証ツール
- ②EMCシミュレーション検証ツール
いずれも、基板設計段階で事前に基板の完成度を検証することが目的ですが、どちらが、優れているかということを論じる必要はなく、それぞれにメリットとデメリットがありますので、それを十分に理解していただいた上で、場面に応じて、ツールを使い分けるという形をお勧めしています。またあるいは、弊社セミナー等で、お客様による事例発表として最近多くなっている「①、②の併用」型も理想的だと考えられます。一般的には、①は基板全体の検証向き②は基板の一部分の検証向きと言えます。
各ツールのメリット、デメリットを次に簡単に表にまとめてみます。
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それぞれのツールには、メリットとデメリットがあることをご理解いただけたと思います。また、EMCルールベース検証ツールとEMCシミュレーション検証ツールは補完し合う関係にもあります。
例えば、ルールベース検証ツールで基板全体のスクリーニングを行うことで問題個所を絞り込み、絞り込んだものだけをシミュレーションで詳細解析するというものです。
運用例)
- 差動ペアが並走していない箇所をルールチェックし、シミュレーションで波形解析してみる
- ICとパスコンの経路が長い箇所をルールチェックし、シミュレーションでインピーダンス特性を解析してみる
- 信号のリターン経路が切れている箇所をルールチェックし、シミュレーションでEMI特性を解析してみる
- 電源パターンの経路が狭い箇所をルールチェックし、シミュレーションで電圧ドロップ値を解析してみる
参考)
図研ベテランSEによる知って得する機能解説 -電源およびグランドパターン設計の妥当性を検証する-