Club-Z特集:Zuken Innovation World 2014 アカデミックセッション特別レポート③

印刷用表示 | テキストサイズ 小 | 中 | 大 |


clubZ_info_renewal.jpg

| HOME | Club-Z特集 | Zuken Innovation World 2014 アカデミックセッション特別レポート | 京都大学 和田教授 | P1 |

更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑Club-Z特集

10月16日~17日に開催されたZuken Innovation World 2014は過去最多の方にご来場いただき、大盛況でした。皆様、ご来場をいただきありがとうございました。今年は2日間で53セッションが用意され、うち4セッションが大学教授による最先端の技術を紹介する内容でした。Club-Zではこのアカデミックセッションの内容を2回に分けてご紹介したいと思います。

後半の今回は16日の横浜国立大学 于教授のセッションのつづき(後半)と、17日の京都大学 大学院工学研究科 和田教授、静岡大学電子工学研究所 浅井教授のセッションをご紹介します。

wada.JPG

Zuken Innovation World 2014
アカデミックセッション特別レポート③
PI/EMCシミュレーションモデルの
現状と展望
─ 京都大学大学院工学研究科電気工学専攻 和田教授による講演内容のご紹介

2014.11.20

「EMI規格適合」から「EMC設計」へ

半導体を使った機器ではいまだにEMCや電源の問題が多く見受けられ、機能の性能以上にパワーインテグリティやEMCのシミュレーションが重要となってきています。ノートPCなどのデジタル機器、自動車、最近ではパワーエレクトロニクス機器でもEMC問題が大きくなってきています。

ZIW2014_wada01.JPG


半導体のEMCシミュレーションやモデリングの取り組みは自動車業界が先行していますが、ECUのノイズも含めた設計を行うためには、チップからきっちりモデル化しなければなりません。しかし、多数の微細な半導体素子を含むチップ内と回路基板やシステム全体では構造の寸法がまるで異なるので、全体を同じように同時にモデル化することはできず、各部分を精度を落とさずにうまくモデル化して、これを階層的に接続することが必要です。そのための半導体チップ部のマクロモデルとして「ICEM-CE/ ICIM-CI」の国際標準化が進められています。

ZIW2014_wada02.JPG


従来のEMCは、作ったものを電波暗室に持ち込んで規格適合試験を行うという世界でしたが、最近は設計段階での「シミュレーションによるEMC設計」へと変わってきました。
なぜかというと、量産体制に入った後の電子機器の不具合は、リコールなど莫大なコスト発生の要因となり、また、小型高密度実装に伴いそもそも物を作った後からでは対策が打てなくなってきているからです。後からLSIに手を入れることもできないため、EMCエンジニアへの要求が規格適合からEMC設計に移ってきています。現在のEMC設計においては「モデル化+シミュレーション」が重要になっています。
現在、実測したデータとモデル化してシミュレーションした結果を比べると、精度がかなりあがってきており、シミュレーションの実用性は高まっています。

まずはモデル化ですが、EMCのシミュレーションモデルには、IC/LSIなどの半導体デバイスをノイズ源とする「エミッションモデル」と、外来電磁ノイズによる誤動作シミュレーションを行う「イミュニティモデル」の2つがあります。