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教えて!桃子先生☆
2014.06.19
大手電機メーカーにお勤めのショウさん(29歳)、この春デジカメの回路設計チームに配属されました。解析の得意なショウさんは、基板設計会社から上がってきた基板図の解析・検証も任されることになりました。
【case09】
解析が得意で、基板の解析を担当しています。以前担当したプロジェクトで、USB伝送規格のコンプライアンス試験を通すのに、とても時間がかかりました。今度はシミュレータを活用して事前に問題点を潰したいのですが、解析作業をもっと効率よくできないでしょうか?
(回路設計者:ショウさん)
ふ〜。今回も解析担当になったはいいけど、高速伝送規格のコンプライアンス試験の大変さを知っているのでちょっと憂鬱です。以前担当したタブレットのときも、USB周りで何度もパターン変更を余儀なくされたんですよ。今回のデジカメは動画に力を入れているから、HDMI出力に対応するんですが、またあの繰り返しかと思うと…。それに、画像処理速度の向上と低電圧化も必要なので、DDR3メモリも採用してるんですよ。
なんだか大変そう。DDR3やHDMIとかの高速伝送規格のコンプライアンス試験かぁ。デジカメだとDDR3がオンボードだから、コンプライアンス試験は不要ですよね。とはいえ、信頼性向上の為にもちゃんと規格に準拠した検証をするに越したことはないですね。
試作の前にシミュレーションを活用してますか?測定器メーカーのアジレントテクノロジー社のADSなら仮想的にコンプライアンス試験を模したシミュレーションが実施できますよ。
もちろん、活用していますよ!精度の高いシミュレーションができるので、高周波系の回路シミュレータとして有名じゃないですか。社内にもADSはあります。
…でも、ADSにかける前に、トポロジーの作成や、対象箇所の切りだし/作画などをしなければいけないから、準備が大変なんですよ。
確かに今までは大変だったかも。でも、アジレントテクノロジー社はABL(ADS Board Link)を使った設計環境の連携を発表(ADS 2014.01から)したんですよ。CR-8000 Design ForceとADSは、このABLで連携できるから、その手間はだいぶ省けると思いますよ。
■CR-8000 Design ForceのADSインターフェイス機能では、Momentum解析(※1)用に
レイアウト形状を出力する際、解析対象のネットを選択でき、そのネット周辺のレイアウト
形状を含む領域を自動的に抽出できます。(Design Force 2014.1)
また、対象ネットに含まれる受動部品の情報も出力できます。
※1 ADSの3次元プレナー電磁界ソルバー
■ABL対応により、専用のADSデザインキットを別途用意することなく、Circuit Simulator
モードで変換できます。(ADS標準の伝送線路モデルMLIN、SLINモデルに変換)
ADSでは、コンプライアンス試験用の解析機能が用意されているため、試作前に様々な
検証を行うことができます。
基板設計CADとADSを連携させることでシミュレーションの前準備作業が大幅に削減でき、目的に応じたさまざまな検証が行えるので、ADSの高度な解析・検証機能の活用シーンが広がり、設計品質の向上につながります。
これはすごい便利ですね。前準備がこんなにラクになるなら、シミュレータを心置きなく活用できます。これなら、僕以外の回路設計者も、ADSを活用して事前検証してみようって気になるんじゃないかなぁ。
そうですねぇ。そのためにはどこでどんな解析・検証を実施するか、その手法なんかを周知徹底する必要がありますね。検証基準を共有・ルール化すれば、他の設計者でも抜け漏れ無くシミュレータを活用した検証ができるようになるかもしれませんね。そのあたりは、セミナーで説明してくれるみたいだから、行ってみてはどうかしら?
※こちらのセミナーは終了しました。
また、今後「CR-8000/Design Forceエクスペリエンス」では、様々なテーマでセミナーを開催する予定です。ご期待ください。
読者の皆さまにお伺いします。
【3D(自己カップリング等)を考慮したSI解析を行っていますか?】
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★桃子先生プロフィール★
図研のセールスエンジニア
体験型セミナー【CR-8000エクスペリエンス】では講師も務める。
好き:探偵ナイトスクープ
嫌い:あんこ
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までお気軽にご連絡下さい。)お答えできる範囲となってしまいますが、出来る限り回答させていただきます。