精度の高い基板見積を算出する方法

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑設計のお悩み解決します。

教えて!桃子先生☆

2014.02.20

【case05】
営業からもっと精度の高い基板見積もりを出して欲しいと言われています。何か良い方法はありませんか?

(基板設計リーダー:斉藤さん)

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LVDSの配線設計の件では、部下の吉田がお世話になりました。お陰様で効率がぐんとアップして、ほんまに助かってます。ところで今回は折り入ってお願いがありまして伺った次第です。
実は先日、基板の見積に関して営業からもっと精度の高いものを出して欲しいと言われましてね。


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あらあら、それはまた難しいリクエストですね。



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そうなんですよ。ベテラン設計者の手が空いていれば問題ないのですが、そうそう空いていませんし。そもそもベテラン設計者依存のこの体制もなんとかせなあかんなぁ、と思いまして。
ベテラン設計者に頼らず、効率良く、精度の高い初期見積を実現、なんてことできませんかね?


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そうですね…基板の見積には、何かキーになるものがあるように思えますが、具体的には、どのような項目を中心に見積もりされてますか?



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おっ!さすが桃子先生!話が早いですわ。見積項目は、そら~いろんな項目を検討することになりますが、おおまかには、
1.コスト 2.スケジュール 3.基板層数
言うところになりますかねぇ。


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基板層数やスケジュールに影響しそうなのがBGAの配線引き出しですね。出来るだけ正確な層数とスケジュールを算出するために、BGAの引き出しにはオートルーターを使ってみてはいかがですか?オートルーターと言うと、詳細配線のイメージがあると思うのですが、見積作業にも使えるんですよ。


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オートルーターですかぁ…基板1枚、まとめてドン!てな感じで、一気に配線してくれるのはええんですが、後の修正作業の方が大変ちゃいますか?精度の高い見積という要件からも遠のく気が・・・


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確かに基板全体を一気に配線しようとすると修正が多くなるのは否めないかもしれませんね。でも、今のオートルーターは進化してますよ。斉藤さんがおっしゃるような基板1枚をまとめて配線、というような使い方だけでなく、設計者が引かせ方を指示することもできるんです。自動配線の領域を区切って細かく検討したり、特定のエリアに分割して、そのインターフェースに適した自動配線を実行したり、機能はいろいろ拡張されてます。これらを使えば、精度の高い見積も実現できると思いますよ。


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なるほど、それは使えそうですね。その話、詳しく聞かせて下さい!




■Design Forceのオートルーター「DRAGON EX」を活用する
「DRAGONEX」は、Design Force上で利用できるオートルーターです。 設計者が指定した部品・ネット・領域に対して、20種類のタスクから選択して様々な自動配線を実行できます。見積に必要な基板上の各検討要素に対し、迅速に配線結果を得られることにより、短期間で高精度の見積を実施することが可能です。


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■BGAファンアウトによる層数見積り
層数見積に最も影響を与えるのが、多ピンBGAからの信号線引出となります。DRAGON EXの配線タスクの1つである「ファンアウト」※を活用すれば、多ピンBGA(1000ピン以上)でも、見積回答に配線イメージなどのサンプルを添えて、具体的な内容にて確認頂けます。
また、検討対象の配線層による配線結果を比較する事により、効率的な層数見積を実施することが可能です。

※BGAなどパッケージの内側のピンを一旦内層に引き落として、配線しやすくするための処理


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■BGAファンアウトによる層数見積り結果例

①8層貫通ビア基板として見積を行う。
②結果は引き出せたため、そのままテクノロジ編集にて2層削除して再度BGAファンアウトを実行。
③結果NGとなったため、今度は引き出せていた8層貫通ビアをビルドアップに変更して検討を実施。
④更に6層ビルドアップにて検討を行いBGAファンアウトを実施。

最終結果としては、貫通基板では8層、ビルドアップで6層という見積結果を得ることが出来ました。

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■配線ストラテジーの構築
オートルータは、回路に含まれる機能やフロアプランのイメージを元に配線イメージを組み立てる「配線ストラテジー」によって制御されています。BGAやメモリなど、回路に配置される部品が分かれば、その情報を元に最適な配線を組み立てることができます。

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①BGAファンアウト
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②差動配線
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③等長処理
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■配線ストラテジーの流用
ベテラン設計者が見積りに必要な様々な検討要素をストラテジー化することで、見積り作業の自動化の実現の他、ノウハウの共有、設計レベルの高位平準化も可能となります。

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いかがでしたか?このような機能を実際に操作体験できるセミナー「CR-8000/Design Forceエクスペリエンス」も随時開催していますので、ご興味ある方は、お気軽にご参加下さい。詳細はこちらからどうぞ。



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★桃子先生プロフィール★
図研のセールスエンジニア
体験型セミナー【CR-8000エクスペリエンス】では講師も務める。
好き:探偵ナイトスクープ
嫌い:あんこ

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