サッスガ!部品ちゃん

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

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(谷川) 「狭間くん、お帰りなさい!では、乾杯ですよ!!」
(一同) 「 カンパ~イ!
(細川) 「狭間~、評判よかったぜ!また同じ部署で仕事が出来るな!」
(狭間) 「え、えぇ、まあ。」

この日、本人の希望通り、回路設計部に戻ってきた狭間の歓迎会が開かれていた。
しかし、今、彼の心には、ハッキリとポッカリと穴が開いていた。
3年前、技術管理課に異動してから、彼の運命を変えたもの。それは・・・

(狭間) 「(・・・部品ちゃん)」

これは、一人の設計者と、ある3D電子部品モデルの物語である。



buhin.gif サッスガ!部品ちゃん
【第1話】 ~あんなデータに変換した覚えはない~

2009.08.27


人物相関図
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■ 2006年7月 ■


(谷川) えっ?またですか!

回路設計部設計一課/谷川課長は、内線で会話をしている途中、急に立ち上がった。

(谷川) 「・・・はい、・・・はい、わかりました。もーし、もーし訳ありません、すぐに招集しますので、また連絡します。」(ガチャ)

受話器を置いた谷川課長は、大きくため息をつく。
狭間は谷川課長の下で、回路設計の業務を担当していた。

(狭間) 「どうかしたんですか?」
(谷川) 「まずいよまずいよー狭間くん。君が担当していた秋モデルですが、量産直前になってトラブル発生ですよ!」
(狭間) 「え?」
(谷川) 「基板同士がぶつかってしまう箇所があるって生技からの連絡ですよ。 まったく、どうして君のモデルは 次から次へと問題を起こすのでしょう・・・」


1時間後 、会議室には、流石電気の主力製品の秋モデル開発に携わったメンバーが集まり、対応が検討された。生産技術部からの状況報告によると、重なり合う基板において、実装されている電子部品同士が干渉してしまう箇所があるという。
量産前のデザインレビューに関して、製品開発リーダーの細川が説明を行なった。

(細川) 「各種図面を拡大して出力し、関係メンバーで確認を行ないました。問題の起こりそうな箇所を皆で出し合い、そこを重点的に検証していましたが、漏れてしまったようです。」

機構設計の合田課長は、この何とも歯切れの悪い報告を前回のモデルリーダーからも受けていた。しかも、製造・生産準備といった全ての計画に狂いが生じたため、他機種の生産計画にも大きな影響が出たばかりだった。

初歩的とも思われる干渉のミスが続いた背景には、多機能化・高密度化により、流石電気の製品開発において、空間の取り合いがシビアになってきていることと、電気設計とメカ設計、両部門の意図が正しく伝わらないことが挙げられる。そして、問題が繰り返されたことで、もはや2D図面を基にしたレビュワーの経験則による検証では、製品全体の検証範囲をカバーできないことが示されたことになる。

会議の後、合田、谷川の両課長は、技術管理課の大泉課長と、問題の恒久対策について、最初の打合せを設けた。

そして、この打合せが、後の狭間の運命を大きく変えることになる。