Club-Z劇場
入社3年目 基板設計者 ミホの挑戦
【第3話】高速デジタル基板設計 ~SIに気をつけた正しい配置って?~
監修:図研ハイスピード・ソリューションセンター
2009.06.23
-前話までのあらすじ-
新しくSIシミュレーションに挑戦することになったミホ。初めてのことで不安もあったが、設計部長やSIシミュレーションの経験を持つ先輩佐藤のサポートを受け、SIシミュレーションのことがだいぶ分かってきた様子。
そんな折、取引先の弁天堂 鳴宮から「高温環境での基板稼動時の波形を気にしている」という情報を聞き出したミホ。自分に何が求められているのかも見え始め、さらに作業内容が明確になってきた。
いよいよ、『基板設計+SIシミュレーション』のスタートです!
ミホ 「ふう~。ようやく主要部品の基板配置が確定したわ。次はパスコンの配置ね。
回路図にはパスコンがIC電源ピン寄りに置いてあるから、、、電源ピンに近づけてほしいって事ね!
お次はチップ抵抗の配置っと♪ふぅ~っん、抵抗がデータバスに直列に入ってるんだ。」
ミホ 「まるで電線にとまったスズメね~。一列に並べて配置してあげようかな♪・・・そういえば、この抵抗も配置に希望があるのかしら?」
佐藤 「おっ、ダンピング抵抗か。この回路設計者、SIがよほど心配なようだねぇ。」
ミホ 「!! 佐藤さん、急に現れないでくださいよ!びっくりするじゃないですか。でも、なんていいタイミング♪」
佐藤 「えっ?なんだい、なんだい??楽しい話かい?」
ミホ 「ダンピング抵抗って何ですか?」
佐藤 「・・・ふふっ。所詮俺なんて、そんなもんだよな。。。」
ミホ 「まぁまぁ、そう言わずに教えて下さいよ♪佐藤さんにしかこんなこと聞けないんですから~!」
佐藤 「相変わらず調子いいなぁ~、ミホちゃんは。 まぁ、いっか。 ダンピング抵抗っていうのはね・・・」
コラム6【ダンピング抵抗の効果】
ミホ 「この抵抗ってSIの為の部品なんですね。でも、1つのネットに2個もチップ抵抗が入っているのはどうしてですか?」
佐藤 「うん。メモリーICにはデータを書き込んだり、読み込んだりするだろ?つまりメモリーをコントロールする側のICとメモリーICの両方がデータを送信するから、2個の抵抗はそれぞれの送信元のインピーダンスを上げるために入っているんだよ。」
ミホ 「なるほど!では、極力ICの端子近くに置いてあげれば良いと言うことですね。」
佐藤 「そういうこと。どちらのICが信号を送信するかよく考えて配置するんだよ。そうすれば回路設計者の意図が汲み取れるからね。」
(配置作業を続けるミホ)
ミホ 「アドレスバスには抵抗が1個ずつ入っているわね。えっと、アドレスはコントロールICが送信するんだから極力コントロールIC側に配置してあげれば良いって事よね。」
・・・・・
ミホ 「あれ、困ったなぁ。。。先にパスコンを置いたから、ダンピング抵抗が一列に整列しなくて見栄えが悪くなっちゃった。一列に並べたほうがキレイだけど極力寄せたほうが良いのよね。。でもその差ってどれだけ波形に違いが出るのかしら・・・。」
ミホ (うーん、ほとんど同じ波形だし、整列して配置しても問題無いかな・・・?
そうだっ、念のために鳴宮さんにメールで聞いちゃおっと♪)